東京五輪で初実施の空手組手女子61キロ超級代表で初代王者が期待される千葉県出身の植草歩選手(27)=JAL=は新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が出ていた今春、自粛生活を送る郷里の八街(やちまた)市民に向け、動画で応援メッセージを届けた。自身もその頃、コロナで延期になった1年後の五輪への覚悟を決めていた。「金メダルを取り、コロナでみんなの気分が落ちている中、日本だけでなく、世界に感動を与える選手になる」と。
同市のホームページに掲載された2分19秒の応援メッセージ。植草選手は「コロナの影響で少し練習ができていないんですけど、空手を見つめ直す時期だったり、自分をまた考える時間をつくらせてくれた」と報告していた。
その頃について、取材に、コロナ禍にアスリートは「無力と感じた」との一方、「昨年は勝つために練習、練習で余裕がなかったが、ゆっくり自分の今後や、どのように五輪に臨むかを考えていた。金メダルを取って、感動を与える、みんなにパワーを与える選手になると決めた」と新たな覚悟を明かした。
実住小、八街中央中では陸上部で活動。動画では、陸上部の練習後、みんなでたこ焼きを食べに行く時間が「幸せで幸せで仕方なかった」と振り返っている。
そして、掛け持ちで空手道場に通った。
「空手をやりたいって言うんだったら、やめさせないよ」。植草選手は小3の時、父親の政国さん(63)にそう言われたことを今でも覚えている。幼なじみに誘われ、道場で打ち込んだミットの「パーン」と弾けた音に魅了された。
「空手は自分が父に言った初めてのやりたいことだった。父には『きちんと続けます』と答えました」
小5からは週3回、上級者がいる匝瑳市の道場に通い、夜はいつも設計士の父親が迎えに来てくれる生活が中3まで続いた。柏日体高(現日本体育大柏高)に通うために、同じ道場から進学した仲間と借りた柏市のアパートにも、父親は毎週末、八街市からバランスの良い食事をとるようにと冷凍総菜を届けてくれた。
