消費者物価が上昇しているとはいえ、率は2%台にとどまる。8~9%台の米欧とは段違いに低いのに、「物価高」で大変だと騒ぐ。表面ばかり追い掛けるメディアにうんざりしていたところ、「なるほど」と感心した記事があった。
9月7日付、産経新聞朝刊「東京版」である。見出しは「泥酔させ現金引き出す 中国酒混入 赤羽で多発 強引客引き」。
場所は東京都北区赤羽の立ち飲み屋が並ぶ一角、中国籍の女らが客を泥酔させ、近くのコンビニのATMで多額の現金を引き出させる。逮捕された彼女らはスマホで中国の交流サイト「微信(ウィーチャット)」で煩雑にやりとりしていた。その中に、「日本人は金持っていない」「今のお客さんは(略)私たちより貧乏。お客さんは年間50万~60万円の貯金しかできない」とある。そうなら、日本じゃなく母国の中国で荒稼ぎしたらどうか、と突っ込みを入れたくなるが、身につまされるリアルな話なのだ。
なぜ、日本人は貧乏なのか。グラフは、消費者物価、勤労者月収と国内総生産(GDP)の各四半期末までの年間平均値をとり、1997年3月を100とする指数に置き換えて比較しやすくして推移を追っている。一目瞭然、最新の今年6月では消費者物価105に対し、月収は94、GDPデフレーターは89と下回っている。要するに物価は上がってサラリーマンの平均月収が下がっている。物価上昇分を加味した実質では25年前よりも11%も収入が少なくなっている。