男の好奇心を満たす! 懐かしの「デートカー」

【ABS世代が「シニア」を変える】

 「デートカー」って覚えていますか? 1980年代にはやった言葉で、デートで女の子を乗せる目的のクルマをこう呼んでいました。私(鈴木)もその流行にのり、日産シルビア(S13型)を購入。新車納車日のワクワク感は今でも忘れられない思い出です。

 一般社団法人・日本元気シニア総研が最近実施した調査では、東京および近郊在住のABS世代は、20歳前後の頃に約30%の人が自分のクルマを所有していました。そのくらいクルマは当時、若者の憧れでした。

 今の自動車メーカーは、電気自動車や自動運転をさらに進化させ、環境に優しい安心・安全なモビリティを訴求しています。そもそもクルマは「移動手段や輸送手段」です。実際、自分が運転しなくても移動できるクルマへの欲求は多く、その方向性がメーンになっていくとは思います。特に高齢社会の日本や先進諸国では、こうした技術の商品化が急がれます。

 一方でクルマに対し、「運転や所有」を通じた「ライフスタイルの楽しみ」としての価値を求める人は今後も必ず存在します。ABS世代の若い頃のニーズが、まさにそうでした。

 現在、トヨタ自動車のクーペ「86」はロングランですが、購入者の多くはABS世代だと聞きました。86はもともと80年代にはやった「カローラレビン(AE86型)」の通称で、この世代には響くネーミングです。そして昨年、これまたABS世代には忘れられない「スープラ」が発表され話題になりました。

 私もそうですが、ABS世代は子育てが終わり、家族での移動は少なくなっています。そんななかで、再び趣味性の高いクルマに乗りたい人も多くいると思います。特に若い頃はお金がなかったけれど、「今なら買える!」ということで、ABS世代がクーペやオープンカーに乗っている光景はよく目にします。

 私も60代を迎える今、昔好きだったクーペに再び乗りたいと思います。そう考えると、昔のデートカーのようなコンセプトのクルマ(コンパクトクーペやSUV)は需要がある気がします。輸入車にはこうしたパーソナルカーが多くありますが、国産で廉価な車種があれば気軽に買えます。

 最近注目の「サブスクリプション(定額サービス)モデル」で、国産車・輸入車を問わず興味あるクルマに片っ端から気軽に乗れるのも面白いですね。また、クルマおたく(エンスー=熱狂的支持者)の会員組織化もユニークなビジネスです。このサブスクモデルは、クルマを気兼ねなく「回し乗り」して、乗った感想を情報としてシェアする「トキ(限定性・参加性・貢献性)消費」に価値を感じる人たちのコミュニティです。

 免許返納の年齢になる前に、これまで頑張った自分へのご褒美の意味も込めて、今一度好きなクルマ、欲しかったクルマに乗るコトは、オトナの好奇心を満たし、素敵な時間を過ごせそうです。

 ■鈴木準 1960年生まれ。一般社団法人日本元気シニア総研・ABS研究会主任研究員。ジェイ・ビーム代表。マーケティングコンサルタント。ジェロントロジスト。広告代理店を経て37歳で起業。企業のモノやサービスのコンセプト開発、プロモーション戦略に関わっている。

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