NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)によるワークショップ「NEDO Challenge -衛星データで革新する未来の都市インフラ-」が10日、都内の会場とオンラインのハイブリッド形式で行われた。
「NEDO Challenge」は、技術・社会課題の解決に資する多様なシーズ・解決策を「コンテスト形式」による懸賞金型の研究開発方式を通じて募るプログラム。懸賞金に加え、各種の支援を組み合わせることで研究開発を促進させ、将来の課題解決や新産業創出につながる革新的なシーズをいち早く発掘することを目的としており、これまでに量子コンピュータを用いた社会問題の解決や、人手不足解消に資するロボット技術の開発などを目的にコンテストを行ってきた。今回は「衛星データで革新する未来の都市インフラ」をテーマにコンテストへの応募を募っており、応募を検討している事業関係者の理解を深めるべく、本ワークショップが行われた。
法政大学教授・今井龍一氏は「インフラマネジメントの現場ニーズとテクノロジー活用動向」と題して、インフラ点検における実状を踏まえた衛星データの利活用について講演。橋梁やトンネルなどの点検作業量が膨大となる一方、その担い手が減少し続けているなか、インフラメンテの現場では、
①これまでの市町村単位での管理から、隣接する自治体で協力し広域でインフラ点検・管理を行う「地域インフラ群再生戦略マネジメント」へ
②壊れたら直すではなく、壊れる前に「この先何が起こるのか」を予測し事前に対策する「予防保全」へ
という二つの流れがあるとし、こうした方向性のなかで、衛星データは「点」における「精密度」ではなく、広域を捉えたスクリーニングに威力を発揮するのではないかと提案した。また、衛星データを単一で使用するのではなく、インフラ台帳や点検データ、さらには日本全国の都市のデジタルツイン化プロジェクト「PLATEAU」のデータ等と補完し合う、組み合わせる、融合させるという使い方が良いのではないかとしたうえで、更には予防保全の高度化を目的としたAIへのデータ提供や、現場でのフィジカルAI活用に繋がるような衛星データの利用法に期待したいと述べた。
防災科学技術研究所主任研究員・田口仁氏は「防災・災害対応の現場ニーズとテクノロジー活用動向」と題して講演。防災・災害対応において衛星データはあくまで被害状況把握のためのツールの一つであり、衛星ありきではなく、然るべき目的のために衛星を使えばこういうことが出来ますよ、という観点からの提案を歓迎したいと述べた。また、今井氏と同様、衛星データ単体をどう解析するかということだけではなく、様々な社会の仕組み、多様なデータの中にそれを掛け合わせて統合していく、そういう取り組みが面白いのではないかとするとともに、普段利用しているサービスを災害時にもそのまま役立てる「フェーズフリー(災害時と日常の境界をなくす)」の概念を意識したアイデアにも期待を寄せた。
質疑応答のコーナーでは、衛星データの扱い方、その精度や限界、防災ビジネスとマネタイズなどについての質問に両氏が回答。コンテストへの応募を検討していた参加者からは「若干、ハードルの高さを感じていたが、今日のワークショップで色々とクリアになった部分もあり、応募を前向きに考えたい」「弊社の事業内容と合致している部分が多くあり、ぜひ応募したい」との声が聞かれた。本コンテストの詳細はNEDOの特設ページ(https://space-data-challenge.nedo.go.jp/infrastructure/)で公開予定。

