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ミャンマーは都市と農村連動「面」の抗議、大弾圧の可能性も 高橋昭雄・東京大学東洋文化研究所長

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産経新聞

東京大学東洋文化研究所所長の高橋昭雄教授(本人提供) 1/1枚  ミャンマーでの今回のクーデターが、1988年に起きた民主化要求デモとその後のクーデターと大きく違うのは、都市部と農村部が連動して抗議活動が起きている点だ。

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 徐々に都市化が進んでいるとはいえ、ミャンマーでは人口の約7割がいまも農村部に暮らしている。

 88年の運動の中心は都市の学生だった。当時は農村部でも散発的な反体制の動きはあったものの、都市部の高揚との連携は薄く、運動は「点」でしかなかった。

 しかし、現在は農村部にもスマートフォンが普及し、多くの人がバイクなどの移動手段を持つようになって都市部とのつながりが深くなった。民主化に先立つテイン・セイン元大統領(2011~16年在任)時代に経済自由化が進んだためだ。この結果、抗議運動が「面」で広がるようになった。

 1988年との類似点もある。国軍はクーデター後、刑法犯を大量釈放したが、これは88年と同じパターンだ。あえて社会不安を醸成し、国軍による統治を正当化しようということだろう。国軍支持のデモも組織され、犯罪集団がかかわっているとも噂される。

 これに対し、抗議する市民側は、死者を出さないよう賢明な手法でデモを展開している。中心となる人物や組織がない運動であり、国軍としては容易に鎮められまい。国軍が、自ら主導する統治を諦めない以上、いずれは大弾圧に踏み出す可能性も否定はできない。

 一方で、米欧が制裁を本格発動し、ミャンマーが再び世界経済から切り離される事態となれば、国軍は中国にすり寄らざるを得なくなる。国軍にはもともと、少数民族問題などに介入する中国に対して非常に強い嫌悪感があるが、「背に腹は代えられない」と判断してもおかしくない。(聞き手 大内清)

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