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最高裁判事 米社会二分化で高まる最高裁の重要性 

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産経新聞

ギンズバーグ氏の死を悼み、米首都ワシントンの最高裁前に手向けられた花束=21日(ゲッティ=共同) 1/1枚  【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領が最高裁判事に保守派のエイミー・バレット連邦控訴裁(高裁)判事を指名した人事がこれまで以上に注目されたのは、米社会の二極分化が進む中、米国の長期的な方向性を定める最高裁の重要性が国民の間で一層強く認識されるようになったためだ。

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 バレット氏は2017年に連邦控訴裁判事に就任して以降、トランプ政権の移民政策を支持し、米憲法に明記された国民の銃所有の権利を拡大させる司法判断を下してきた。

 最高裁では大統領選後の11月10日、オバマ前政権下で成立した、事実上の国民皆保険を目指す医療保険制度改革法(オバマケア)の是非を問う裁判の審理が行われる。トランプ政権と共和党は同法の撤廃を目指しており、バレット氏がそれまでに承認されれば同法は撤廃に大きく近づく。

 保守派のカトリック信者であるバレット氏は人工妊娠中絶にも反対の立場だ。このため中絶容認派の市民団体は、バレット氏が通称「ロー対ウェード判決」と呼ばれる、人工妊娠中絶を合憲とした1973年の最高裁判決を無効化させる判断を下す恐れがあるとして警戒を強めている。

 日本では最高裁判事の定年は70歳だが、米国は身分を保障することで外部からの政治的干渉を受けにくくするため、事実上の終身制となっている。

 48歳のバレット氏が、先に死去したギンズバーグ氏と同様に87歳まで務めた場合、バレット氏は約40年間も米社会の在り方に影響を与えることになる。

 トランプ政権が最高裁の保守化に傾注するのは、最高裁を米国の「左傾化」を食い止める「最後の砦(とりで)」に位置付けているからだ。

 米国の人口動態は白人が減少する一方、黒人や中南米系などの人種的少数派の割合が増え、少数派がそれぞれの権利拡大を最優先させようとする「アイデンティティー政治」が一部で先鋭化している。

 一方、東西冷戦終結以降に生まれた世代は社会主義への警戒感が薄く、特に若者層に左派リベラル思想の持ち主が多いとされる。

 保守勢力は、一連の現象が先の黒人暴行死事件を受けた過激勢力による暴動や警官襲撃、銅像破壊など米国の歴史を否定する動きの根底にあるとみる。それだけに、トランプ氏による保守派判事の指名は、同氏の最大の実績として保守派に記憶されることになりそうだ。

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