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武藤なら「すべて水に流される」!? 58歳で3大メジャー制覇、なるべくしてなった「令和の御大」

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産経新聞

武藤はメジャー全制覇となるGHCベルトを腰に巻いた(筆者提供) 1/1枚 【今日も一緒にプロレスを楽しみましょう!】

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 58歳にしてプロレス界の話題を独占している武藤敬司。ノアの2・12日本武道館で、潮崎豪(39)を破り、GHCヘビー級王座を獲得した。

 これでメジャー3団体(新日本プロレス、全日本プロレス、ノア)のタイトルを奪取するグランドスラムを達成。15日にはノアと2年契約を交わし、3団体全てに所属することとなった。

 生涯最前線を目指し、昭和、平成、令和の3時代で頂点に立つ偉業は「令和の御大」にふさわしい大活躍である。

 1984年に新日本に入門したときから、恵まれた体格、高い運動能力、甘いルックスと三拍子揃っており、将来を嘱望されていた。加えて、前向き思考、いい意味での鈍感力…。性格もプロレスラーに向いていた。もちろん運にも恵まれてきた。勝負時を見逃さず、しっかりとつかみ取るなど、すべてを生かしてきた結果、期待以上のレスラー人生を送っていると言っていいだろう。

 己の道を信じ、マイペースを貫く生き方は、入門当初からだった。猛練習に加え、雑用など厳しい道場生活に、練習生の道場からの逃走はつきもの。並みの新人なら夜逃げだが、武藤は“鬼軍曹”山本小鉄さんに「辞めたい」と堂々と申し出た。

 期待値が抜群の武藤に逃げられては、新日本の名が廃る。待遇改善はなされなかったが「もう少し、頑張れ」と引き留められた。後々になって、同期の盟友・蝶野正洋が「さすがだと思った。労使交渉だよ。自分のポジションがよくわかっていたんだな」と振り返っている。

 若くして海外修行に出されたのも、武藤の適応能力とサバイバル力を評価されてのこと。フロリダ、ダラス、プエルトリコ…。行く先々で成功している。先輩や仲間のレスラーらと、すぐに溶け込み、運転、料理などを助けてもらう。武藤の周りには、いつの間にかサポーター軍団が出来上がっていた。

 練習生時代から、武藤を知っているが、彼の口から人の悪口を聞いたことがない。愚痴はもれても、最後は笑い話にしてしまう。逆に武藤を悪く言う人もまずいない。「彼はしようがないよ」で、済んでしまう。全日本プロレス社長を降り、WRESTLE-1を旗揚げし活動休止となったが、武藤に付いてきたプロレスラー、スタッフからも恨み節は聞かれない。

 かつて「猪木ならすべて許されるのか」と言われたが、今なら「武藤ならすべて水に流されるのか」であり、答えは「はい、そうです」なのだ。

 成功する人間は「運、鈍、根」という。武藤はまさにその通り。運を逃さず、鈍感力でピンチを乗り切り、もちろん根性は筋金入り。なるべくして「令和の御大」になったのだ。(プロレス解説者・柴田惣一)

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