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“スポーツ城下町”が瀕死危機 両国国技館と東京ドーム、飲食店に名物書店も…止まらぬゴーストタウン化

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産経新聞

水道橋駅周辺は都心の一等地がシャッター街に 1/3枚  新型コロナウイルスの第3波で大都市に緊急事態宣言が再発令され、長引くコロナ不況は年をまたいでも先が見通せない。大打撃を受けたスポーツ興行が息を吹き返すのを待てずに、限界を迎えつつあるのが競技施設の“城下町”だ。大相撲初場所を開催中の両国国技館(東京都墨田区)、プロ野球・巨人や格闘技の試合が行われる東京ドーム(文京区)の界隈を歩いた。(塚沢健太郎)

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両国のちゃんこ店は今

 国技館に大相撲観戦に繰り出すもうひとつの楽しみが、ちゃんこ店での食事だ。不入りの時代に観客増のためナイター化が提案されても、当時の北の湖理事長は「終了後にちゃんこを食べて帰るのもお客さんの楽しみだから。ナイターだとそれができなくなる」と一蓮托生の姿勢を見せていたほど。

 ところが、今場所は緊急事態宣言の再発令を受け、国技館近辺の約20店あるちゃんこ店も大打撃を受けている。

 収容人員の半分となる約5000人を上限に開催されているものの、平日はマス席の後方もガラガラの状態だ。さらに、終了後は規制退場となるため、夜6時に打ち出しとなっても、ちゃんこを食べに店に到着するのは夜6時半過ぎ。あるちゃんこ店では「来店したお客さんが『国技館は5000人の半分も入っていなかった』と話していました。こちらも同じような感じです」と客が半減したことを明かす。

 たたでさえコロナ禍では、鍋を囲んだ食事は敬遠されがち。さらに書き入れ時に営業時間短縮の追い打ちだ。「来店されても、お帰りまで1時間ちょっとになってしまう。鍋だから時間がかかるので、8時閉店は厳しい」とお手上げだ。

 別のちゃんこ店も「団体客の方もみえませんし、ハッキリ申し上げてものすごい打撃です」と悲痛な叫びを上げる。両国に2店舗を構える「ちゃんこ江戸沢」は緊急事態宣言が明けるまで休業を決定。「これまで時短はありましたが、今回は会社全体で休むことになりました」と説明した。

巨人お膝元水道橋が一変 

 JR水道橋駅から東京ドームに向かう途中、中央競馬の場外馬券売り場などがある黄色いビルの一角に店舗を構えていた名物書店「オークスブックセンター東京ドームシティ店」が11日に閉店。半世紀以上の歴史に幕を下ろした。

 「文系野球の聖地」の看板を掲げ、店頭には巨人を始めプロ野球、格闘技、競馬、コンサートなどドームでの催し物に合わせた書籍が並び、ファンが足を止めるのがおなじみの光景だった。前身「山下書店」がオープンしたのは、V9の始まった1965年。2012年に「オークスブックセンター」に替わったが、現状では他の書店が引き継ぐ予定はないという。

 同店は「東京ドームは集客がなく、イベントも開催されないのは大きかった。月によって違いもありますが。売り上げがかなり減っていた」と閉店理由を説明する。プロ野球や後楽園ホールのボクシング、プロレスで収容人員が制限されたばかりか、中央競馬、大井競馬の場外馬券売り場も9月まで半年間閉鎖。年明けから再閉鎖されている。ネット投票に移行して馬券を購入に来るファンがいなくなり、人の行き来が激減。苦渋の決断を下すことになった。

 テナント料が高い水道橋駅近辺で店をたたんだのは、全国的に減少が続く書店だけではない。不況に強いはずの業態も大苦戦。駅西口の改札を出てドームに向かう際、真っ先に目に入るのが「小諸そば」だった。40年以上も野球ファンや競馬好きの小腹を満たしてきた立ち食いそば店が閉店。駅隣の一等地も、マクドナルドや築地銀だこが入っていた場所のシャッターは閉じられたままだ。

 道路を挟んで「富士そば」やタピオカ店など横並びの4店舗もつぶれ、都心にまさかのシャッター街が出現。昨年の大みそかに閉店した「くすりの福太郎」の本部は「水道橋店はお客さんが多かったので、閉店になるとは考えられない。コロナの影響です」と明かす。

 ほかにも界隈では、人気つけ麺チェーンなど数件のラーメン店、バー、居酒屋などが続々撤退。巨人のお膝元でゴーストタウン化が止まらない。

写真一覧

  • 近隣の50人用個室もある「ちゃんこ江戸沢」は場所中でも休業を決断=17日、東京都墨田区
  • 中日を迎えた両国国技館は空席が目立つ=17日、東京都墨田区

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