記事詳細

【虎のソナタ】気分いい「歴史の目撃者」になりたい 注目タイトル…38年前はプロ野球史の汚点が

更新
サンケイスポーツ

1982年10月18日、田尾は5打席連続四球で首位打者を逃した 1/1枚  画面を通してだけど、歴史の目撃者になった気分は悪いはずがない。

<< 下に続く >>

 まずは京都競馬場。最後の直線。デアリングタクトが真ん中あたりから抜け出し、そのまま一気に駆け抜けた。史上初の無敗の3冠牝馬が誕生した瞬間だ。馬券を外した方には申し訳ないが、偉業はみんなでホメ称えましょう。

 日曜日の午後。とにかく慌ただしかった。秋華賞は見なくちゃいけない。もちろん、甲子園では同時進行で阪神はヤクルト相手に、大山が逆転打、ボーアがド派手な一発。いい戦いだ。

 ネット中継の“時の人”も見逃せない。編集局の片隅にある「虎のソナタ取材班」のパソコンは、関西学生野球「近大-関大」を生中継。言いにくいけど、阪神戦より面白かった。

 ドラフトの超目玉、近大・佐藤輝明が、延長十一回に勝ち越し3ラン。リーグ新記録の14号だ。歴史は塗り替えられた! それまでサッパリの打席内容だったけれど、一番いいところで打つ。持って生まれた“千両役者”の匂いが。

 解説をしていた元阪神のエース藪恵壹氏が紹介していた。

 「内野も外野も守れるので、指名されたチーム事情でどちらでも使えます」

 巨人が指名するらしい。オリックスも名乗りを上げていた。で、阪神はどうする?! 入ってくれたら、サードは大山がいるから外野かな。糸井二世だから、糸井の右翼をそっくりそのままプレゼントするか。いや、大山を一塁にするって布陣もありかもしれない。こういう想像をしている瞬間は、幸せになれる。

 NHKBS1で阪神戦の解説をしていたのは本紙専属評論家でもある小早川毅彦氏。大山の打撃を褒めながら、タイトル争いに言及していた。

 「おそらく最後の最後までもつれるでしょうね。昔は、(チームメートにタイトルを獲らせるために、ライバルとは)勝負しないことがあったんですが。今はないと思いますが…」

 ちょっぴり心配事に触れていた。

 本塁打王、打点王のライバルは岡本(巨人)、村上(ヤクルト)、鈴木誠(広島)ら。最終盤の11月に入っても、ヤクルトと3試合、巨人、広島とは1試合ずつ。勝負してくれるかな?!

 1982年10月18日、中日がリーグ優勝を決めた。その試合で、あと1本ヒットを打てば首位打者だった中日・田尾(本紙専属評論家)は5打席連続敬遠。率にして0・0009差でタイトルを逃すのだ。ライバル長崎が対戦相手の大洋にいたための敬遠攻め。

 5打席目。田尾はカウント3-0からの敬遠球に飛びつくように空振りした。次の球は、ストライクを振るかのような空振り。球場は騒然。コーチになだめられて、次の球は見送る-。

 「首位打者になりたいというより、見に来てくれたお客さんに申し訳ない、あまりに失礼だと思って、(抗議の気持ちで)空振りした」

 そんな思いを、本人から聞いたことがある。

 「でも、38年前の10・18は、自分が最高に輝いた日。マジック1で臨んだ試合で、1番打者として5回出塁して、優勝したんだから」

 プロ野球史の汚点は、田尾氏の晴れやかな回想コメントで、少しは救われる。ただ、繰り返してほしくない…。

 ことしのタイトル争いは、気分のいい「歴史の目撃者」になりたいもんです。

ピックアップ

    注目ニュース

      アクセスランキング

      iza! ソーシャルメディア公式アカウント

      • twitter
      • facebook
      • iza!を読む
      ×