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「集中できない」「寂しい」 初の無観客となった春場所 力士たちはどう感じたか

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産経新聞

大相撲春場所で11勝を挙げて大関昇進を果たした朝乃山(右)は無観客に「寂しかった」=エディオンアリーナ大阪(門井聡撮影) 1/2枚  【大相撲徳俵】

 大相撲春場所は3月22日に大阪市浪速区のエディオンアリーナ大阪で千秋楽を迎え、15日間の戦いが終わった。新型コロナウイルスの影響で史上初の無観客開催となった異例の場所。声援の聞こえない中で土俵に上がった力士たちは、どんな思いを抱いていたのか。さまざまな声が聞こえてきた。

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 11勝4敗の好成績で大関に昇進することになった朝乃山。「自分の相撲を取り切っていい報告ができたらみなさんも元気になる。明るいニュースを届けられたらいい」と思って初日を迎えた。いざ会場に入ってみると「本当にシーンとしていた。寂しかった」という。

 近大時代を過ごした大阪での開催ということもあり、本来であれば大歓声をもらっていたはず。「声援がないというのは寂しかった」と振り返り、新大関として迎える来場所に向け「できればいつもの場所のようにお客さんが入って声援を受けられたら」と話した。

 無観客の中で相撲を取ることに対し、「集中できない」と話す力士もいれば、「集中できる」と感じる力士もいた。

 ベテランの平幕松鳳山は4勝11敗と大きく負け越した。観客の声援を力に変えるタイプで「いまいち調子が上がらなかった。お客さんがいると十二分に集中できるんだけど…」と勝手が狂ったよう。「近くに目があるのと(テレビの)向こうに目があるのでは全然違う。(館内で)見てくれる人がいるのはありがたい」としみじみ語った。

 平幕碧山は一時は優勝争いの単独トップに立つなど健闘。11勝4敗で技能賞を獲得した。碧山は「稽古場横綱」と呼ばれるほど稽古で強さを発揮する力士。しかし、これまでは本場所になると力を出せずにいた。

 今場所の館内は静まり返り、稽古場みたいだった。「体が稽古場みたいな動きをしている。お客さんがいないからめちゃめちゃ気合が入ることはないし、緊張もしないし」と碧山。普段着で相撲を取れたことが、好結果に結び付いたようだ。

 普段は大声援が飛ぶ土俵入りも今場所は静けさが包んだ。鶴竜は横綱土俵入りについて、序盤は「違和感を覚えた」という。四股を踏むたびに観客が発する「よいしょ」の掛け声が聞こえない。それでも次第に慣れ、終盤には「全然余裕です」と笑みを浮かべていた。

 一方で取組の時は「集中できる」と無観客をプラスにも捉えていた。白鵬との千秋楽相星決戦に敗れて優勝は逃したが、3場所連続休場明けで12勝3敗は上々の成績。千秋楽を終えた鶴竜は、「テレビの前で一生懸命応援していただいた。年に1回の大阪場所。来年は足を運んで楽しんでもらえたら」と力士会長の顔で話していた。

 力士たちは今回の春場所を通じて、声援のありがたみを再認識したはず。5月の夏場所になるかその先になるかは分からないが、通常開催に戻ったときに観客を沸かせる相撲をきっと取ってくれることだろう。(運動部 浜田慎太郎)

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  • 大相撲春場所の千秋楽、無観客の会場で挨拶をする日本相撲協会の八角理事長ら=3月22日、エディオンアリーナ大阪(門井聡撮影)

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