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「幻の代表」にしない!五輪マラソンは男女代表6人そのまま、瀬古氏即決/陸上

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産経新聞

開幕までの残り日数をカウントしていた東京駅前のボードには日時が表示された (撮影・蔵賢斗) 1/2枚  日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(63)が東京五輪の1年程度の延期決定から一夜明けた25日、東京都内で取材に応じ、男子日本記録保持者の大迫傑(28)=ナイキ=ら男女各3人の代表を再選考しない方針を示した。6月の理事会で正式に決まる見通し。新型コロナウイルスの影響で五輪史上初の延期が決まる中、1980年モスクワ五輪に出られなかった「幻の代表」として選手を思いやった。

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 涙はのませない。史上初の延期が決まった五輪のスタートラインには、内定者6人を送り出す。「幻の代表」の瀬古氏は、マラソン代表を再選考しない方針を示した。

 「権利を守ってあげたい。3年かけて自分たちで勝ち取った。取り上げることはできない」

 6月に行われる日本陸連の理事会で正式に決まる見通し。女子代表の前田穂南(23)=天満屋=が「1年間強化する期間が増えた」と言えば、「五輪で競技できる機会をいただけることに感謝している」と男子代表の服部勇馬(26)=トヨタ自動車。強化責任者から反対の声は上がっていないという。

 日本陸連は2017年春、昨夏の代表選考レース「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」を軸とした選考方針を打ち出した。従来は条件が異なる複数のレース結果を比較する形だったが、設定タイムの突破を重視した明確な基準により透明性を確保。3月上旬に選考会は終了し、代表が出そろった。

 足並みをそろえて五輪に向かおうとした矢先、コロナ禍で暗雲が垂れ込める。前日24日に延期が決まり、各競技団体は選考の仕切り直しを迫られた。男子代表の中村匠吾(27)=富士通=は「MGCというプロセスを経て勝ち取った内定。ぜひ維持していただきたい」と不安視していた。指導者からも上がっていたという心配の声を、強化のトップに立つ瀬古氏がすぐに打ち消した。

 40年前を忘れたことはない。東西冷戦下のモスクワ五輪。マラソン代表に選ばれていながら、日本のボイコットにより出場できなかった。国がソ連のアフガニスタン侵攻に抗議する米国に同調したからだった。当時は脂が乗った24歳。4年後のロサンゼルス大会は14位、8年後のソウル大会は9位だった。

 「(当時は)やるのか、やらないのか、練習に集中できなかった。選手も昨日まで、その思いだっただろう」。昨秋には開催地が東京から札幌に移転。これ以上選手の行方を左右するわけにはいかなかった。レースは変わらず北の大地で行われる見込みだ。

 「(選手は)体調を整えられる。前向きに捉えている」。代表6人は20代。ランナーとしての旬を駆ける。(鈴木智紘)

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  • 東京都内で取材に応じた瀬古氏

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