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菅政権「対中外交」も“従来路線”継続! 「米国か、中国か」の二者択一…日本企業は米市場を死守か

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産経新聞

菅首相 1/1枚  【ニュースの核心】

 菅義偉政権は、中国にどう向き合っていくのだろうか。

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 一部には、菅政権誕生に大きな力を発揮した自民党の二階俊博幹事長が「親中派」の筆頭格であるために、「中国に強硬な態度をとれないのでは」という見方もある。だが、これは杞憂(きゆう)だ。米国との同盟関係を犠牲にして、中国にすり寄るのはあり得ない。

 なぜ、そう見るか。

 9月20日夜に開かれたドナルド・トランプ米大統領との初めての日米電話首脳会談で、菅首相は「日米同盟を一層、強化したい」と語った。そのうえで、両者は北朝鮮による日本人拉致問題への対応や、自由で開かれたインド太平洋構想についても「緊密な連携」で一致した。一言で言えば、従来路線の継続を確認したのだ。

 菅首相は自民党総裁選で「外交は継続が大事」と強調し、首相就任後は国家安全保障局(NSC)の北村滋局長も留任させた。これは「安倍晋三政権の外交路線を継続、強化する」という意思表明にほかならない。

 トランプ政権は8月、中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」など5社への制裁で、同社と取引する外国企業も米国の政府調達から締め出す方針を決めた。制裁企業が今後、さらに拡大するのは確実だ。

 こうした米政権の動きは、日本の親中派にも大きな影響を及ぼす。中国の問題企業と取引すれば、米政府から制裁され、ひいては米国市場を失う恐れがある。日本を含めた世界の企業は「米国をとるか、中国をとるか」という二者択一を迫られるのだ。

 日本企業とすれば、人口14億人の中国市場がいくら魅力的に見えようと、そのために、米国市場を失うわけにはいかない。結局、多少の時間はかかったとしても、日本企業は中国との取引を見直さざるを得ない。そうなれば、永田町の親中派も、いつまでも「親中」を続ける理由がなくなってしまうのだ。

 親中派が親中である根本的な理由は、自分たちを支援する経済界が親中であるからだ。これは、日本人の中国旅行や訪日中国人を相手に商売してきた観光業界を考えれば、すぐ分かるだろう。彼らが親中になるのは当然だった。ちなみに、その「観光業界のドン」が二階氏である。

 だが、新型コロナウイルスの拡大で、中国からの訪日客はぱったり途絶え、日本人の訪中旅行も激減した。元に戻るのは考えにくい。米中対決の激化に加えて、新型コロナによる中国のイメージダウンがあまりに大きいからだ。

 まだ中国投資を拡大しようとする企業もあるが、私は「それで大丈夫か」と心配になる。かつては旧ソ連に先端製品を売却したために、米国から厳しい制裁を受けた東芝機械事件もあった。中国リスクに無頓着だと、同じ轍を踏む可能性がある。

 私は、日本企業が対中傾斜をいつまでも修正できないと、いずれ米国は「一罰百戒で、東芝機械のように特定企業を締め上げる」可能性すらある、とみる。虎の尾を踏んでからでは遅い。菅首相はできる限り早く訪米し、本格的な日米首脳会談を開くべきだ。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。

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