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ワクチン遅れ、自治体苦悩「計画全て立て直し」

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産経新聞

ワクチン接種会場として使用される豊田スタジアムの出入り口ゲートから観客席に向かうコンコース=19日、愛知県豊田市 1/1枚  新型コロナウイルスのワクチン接種時期の見通しが後ろにずれ込んできた。当初、65歳以上の接種は4月1日以降とされていたが、政府は同12日から限定的に始め、全市区町村へのワクチン発送は同26日の週からとの見通しを発表。約1カ月遅れるだけでなく、全国3600万人にのぼる高齢者のワクチンがどのように届くかも不透明なままだ。接種会場や医療従事者の確保などを進めていた自治体は計画の見直しを迫られ、対応に追われている。(本江希望)

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 ■困難な会場調整「また予約…」

 「全ての計画を立て直さなければならず、大変困っている」

 愛知県豊田市の担当者は国の接種計画のずれ込みに頭を抱えた。

 65歳以上の高齢者が約10万人いる同市は、接種会場として、ラグビーワールドカップ(W杯)で使われた豊田スタジアムの使用を予定している。出入り口のゲートから観客席に向かうコンコースにテントを張って接種し、注射後は4万5千席ある観客席で経過観察する方針だ。

 3密にならず、来場もしやすい好条件の同スタジアムだが、サッカーJリーグの名古屋グランパスが本拠地として使っており、年間を通じて試合日程が優先される。イベントや展覧会などの会場としても使われることから、接種計画の変更は調整をよりいっそう困難にさせる。

 担当者は「他の会場も含め、また予約をとり直さなければならず、先の分まで予約がとれるかどうかわからない」と不安を吐露。接種券(クーポン券)の発送も「国の通知が遅いので困っており、業者からは『もう期限がないよ』と言われている。事務的な作業も手いっぱいだ」と話す。

 東京五輪のボクシング競技会場でもある両国国技館でイベント型の接種も検討している東京都墨田区は、体育館など4つの公共施設も集団接種会場として予定しているが、同様の悩みを抱える。「(当初予定より)プラス1カ月で延期できないか、調整していく必要がある」(担当者)という。

 ■「いつ、どれだけ届くのか」

 当初配られるワクチン分量が限られており、全て供給されるまでの方向性が不透明なことも、作業を困難にさせている。

 国が明らかにしている自治体などへの配送計画は、4月中の55万人分まで。河野太郎行政改革担当相は26日の記者会見で、高齢者3600万人が2回接種できる量について、全国の自治体への配送を6月中に完了できると明らかにしたが、具体的な時期や分量の詳細はわからないままだ。

 石川県の担当者は「いつ、どれだけ届くのか、具体的に教えてほしい。それがクリアになれば準備できるのだが」と訴える。

 届いたワクチンをどう配分するかは、それぞれの都道府県が調整する必要があるが、細かく小分けしての配送は非効率な面があると指摘する声もある。「全部そろってから接種するのが一番混乱がないが、段階的にということなら、どういう順番で接種していくのか、各市町村との調整が必要になってくる」という。

 集団接種会場として、公共施設や民間施設などを使用することで調整している渋谷区。ワクチンの配送は事業者の委託を考えているが、現状では人員などの態勢や配送方法など、調整ができないという。「少しずつしかワクチンが届かないので、供給と予約の態勢が釣り合うのか、ということが一番気になっている」。担当者はこう語った。

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