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満員電車で歌えますか 魅力的な街のつくり方

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 写真家の安田菜津紀さんが、日本を訪れたアフリカ・ウガンダの友人に、日本の満員電車についてどう思う?と尋ねたところ、こんな意外な答えが返ってきたという。「そうだなあ。ウガンダだったらね、あの空間にあれだけの人がいたら、多分皆で歌っていると思うんだよ」(「安田菜津紀の写真日記」webでも考える人・新潮社)。

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 安田さんも書くように、こんな発想、今まで抱いたこともなかった。いかにもアフリカらしい陽気さを感じる。大方の日本人にとって、電車は単なる移動手段。大声の会話はマナー違反、「歌うなんてもってのほか」。若者なら耳にイヤホンを差し込み、「ひとりで音楽の世界に浸りたい」という人が大半ではないか。

 地下鉄「大阪メトロ」が昨年12月に発表した駅改装のデザイン案に対し、「派手すぎる」などと、数日間で2万筆近い反対署名が集まったことは記憶に新しい。「夢がある」と肯定的な意見もあがるなど、賛否が飛び交う話題となり、市民の公共空間に対する関心の高さがうかがえるニュースだった。

 2025年大阪・関西万博に向け、都市の魅力向上を目指す大阪では、最先端技術などを駆使した近未来社会の創造が構想されている。大阪メトロも近い将来、顔認証の入場システムを導入し、いずれは改札機をなくす計画を立てるなど、今後も従来の概念を打ち破るさまざまな改革が実現されていきそうだ。

 そんな未来社会のデザインに期待が高まる一方、そこで使われる最先端技術が本当に人間の身の丈に合ったものなのかどうか、心もとなさを感じないでもない。

 ウガンダの友人に触発された安田さんは、東京・山手線の5本に1本ぐらいを「音楽列車」に指定し、「洋楽車両」や「昭和歌謡車両」を並べたらどんなに楽しいだろう、と想像を膨らませる。車内で合唱…とまではいかなくても、同じ音楽を共有すれば、人々の表情も緩むだろう。最先端技術に頼らなくても、案外簡単な方法で、魅力的な街は実現できるのかもしれない。(浜川太一)

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