記事詳細

電子化や顔認証…進むチケット高額転売対策 普及に課題も

更新

入場券不正転売禁止法のポイント 1/1枚  スポーツやコンサートなどでチケットの不正転売を禁じる入場券不正転売禁止法が6月14日に施行されるのを前に、業界が知恵を絞っている。電子チケットの導入や顔画像の登録など、本人確認を強化する対策が進む一方、システム導入のコストや手間が増えることで「利用者が敬遠するのでは」と懸念する声も。専門家は「ユーザー側の理解が必要」と指摘する。(吉沢智美)

<< 下に続く >>

 チケットをめぐっては、今月9日から抽選販売の申し込みが始まる2020年東京五輪でも不正転売が横行する可能性が指摘されている。

 このため、抽選結果の通知と購入手続き開始は法施行後の6月20日に設定された。違反者には罰則が科されるほか、不正転売されたチケットを無効にするなどの措置が執られるという。

 フリーマーケットアプリなどを運営するメルカリ、ヤフー、楽天の大手3社も五輪チケットを扱わない意向を組織委に示すなど、対策が進められている。

 「通常数千円のチケットが、20万円で売られているのを見たこともある」。サッカーJリーグ・川崎フロンターレの担当者はこう嘆く。

 フロンターレでは今年9月ごろから、ホーム全試合を観戦できる「シーズンチケット」に限って電子チケットを試験的に導入。スマートフォンなどに配信されたQRコードをホームスタジアムの等々力陸上競技場(川崎市)に設置する専用端末にかざして入場する。

 来年からは通常チケットでも導入予定といい、担当者は「紙のチケットをなくすことが転売対策として一番効果的」と話した。

 コンサートチケットの管理などを行っているテイパーズ(東京都)は平成26年から、顔認証を用いた本人確認を実施。30年には歌手のコンサートなど57公演で導入された。

 購入希望者はインターネット上の購入ページなどで登録した顔画像と当日の会場で撮影した顔画像を照合して本人と確認する仕組みで「10秒もかからない」(担当者)という。

 ただ、課題もある。パソコンやスマホ使用に慣れない高齢者には、電子チケットの購入はハードルが高い。顔認証だと入場時の作業が増えるほか、システムの導入経費をチケット代に一部上乗せする形になるため、販売代金を上げざるを得ない。テイパーズの担当者は「利用者はどうしても手間がかからず安い方に流れる。高額転売を防ぐために必要という意識が高まってくれれば」と期待する。

 チケットの転売は、利用者が定価の何倍もの高額で購入させられるだけでなく、チケットそのものは完売なのに買い占められたチケットがさばけず空席が出ることにもつながる。

 かつては会場の外などで直接転売を持ちかける「ダフ屋」が主流で、公共の場所での転売は都道府県の迷惑防止条例で規制されており、警察が摘発することも多い。しかし、ネット上での売買には明確な規制がなかったため、オークションサイト上などでの不正転売が横行していた。

 転売問題に詳しい福井健策弁護士は「個人情報を登録することは紙チケットやファンクラブに登録する際にもやっているはず。ユーザーの手間をできるだけ少ない形で進めれば、一般化するのではないか」と話した。

 【入場券不正転売禁止法】 映画や演劇、音楽、舞踊などの芸術、芸能やスポーツの入場券の高額転売を禁止する法律。QRコードやICカードをチケットとしている場合も含まれる。興行主の同意なしに対象のチケットを販売価格を超える値段で常習的に転売している場合、1年以下の懲役か100万円以下の罰金、もしくは両方が科される。6月14日に施行され、同20日に抽選結果が発表される2020年東京五輪の観戦チケットにも適用される。

ピックアップ

    注目ニュース

      アクセスランキング

      iza! ソーシャルメディア公式アカウント

      • twitter
      • facebook
      • google+
      • iza!を読む