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「悲劇を繰り返さない」震災語り部 次の10年が正念場 気仙沼でフォーラム

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産経新聞

「語り部バス」で語り部を行う南三陸ホテル観洋の伊藤俊さん=2月9日、宮城県南三陸町(納冨康撮影) 1/1枚  東日本大震災から間もなく10年。被災地では被災者らが語り部となり、震災の経験を後世に伝えようと活動している。ただ、昨年はコロナ禍で来訪者が激減したほか、時間の経過とともに被災した建物などがなくなったり、人々の関心が薄れたりしている現状もある。28日には宮城県気仙沼市で語り部フォーラムが開かれ、悲劇を二度と繰り返さないため、風化を防ぎ、伝承していく重要さについて意見交換が行われた。(大渡美咲)

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 宮城県南三陸町の南三陸ホテル観洋では、平成23年夏ごろから従業員が被災状況を説明しながら町を案内する「語り部バス」を運行してきた。多くの人が犠牲となった「防災対策庁舎」や震災遺構「高野会館」を巡り、震災の教訓を伝えてきた。

 24年2月からは毎日運行し、これまでに延べ39万人が利用。昨年は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出され、利用者が激減した。利用者がいない日もあったが、1人でも申し込みがあれば運行し、今年も継続している。

 ホテル従業員の伊藤俊さん(45)は当初、語ることに抵抗があったが、語り部活動を通じ、人とのつながりや伝えることの大切さを感じるようになった。約10年間続けてきた語り部バスも、これからの10年が「正念場」だとする。

 「今後は時間の経過とともに震災が忘れられ、なかったことのようになる。より一層伝わるように伝えていきたい」と話す。

 南三陸ホテル観洋では、東北や全国の被災地の語り部が集い、活動報告や今後の課題を共有するためのシンポジウムやフォーラムを28年から開催。計8回目となる今年は、初めて気仙沼市で開催した。

 今回は同市の語り部、橋本茂善(しげよし)さん(71)らと協力して同市内を巡る語り部バスを運行。津波と火災の被害を受けた鹿折(ししおり)地区や民間震災遺構「命のらせん階段」などを回った。

 橋本さんは語り部フォーラムにも毎年参加しており、「震災から10年もたつと風化が進むが、災害はいつどこで発生するか分からない。語り部同士で情報を共有しながら、経験を伝えていきたい」と話した。

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