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淡路島5人殺害、無期懲役確定へ 最高裁、被告側の上告棄却

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産経新聞

最高裁判所=東京都千代田区(伴龍二撮影) 1/1枚  兵庫県洲本市(淡路島)で平成27年、男女5人を刺殺したとして殺人罪などに問われた平野達彦被告(46)について、最高裁第3小法廷(林景一裁判長)は被告側の上告を棄却する決定をした。死刑とした1審神戸地裁の裁判員裁判判決を破棄し、無期懲役とした2審大阪高裁判決が確定する。20日付。5裁判官全員一致の結論。

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 責任能力の有無や程度が主な争点だった。1審判決は、向精神薬の大量摂取による薬剤性の精神疾患だったとする一方、「疾患は大きな影響を与えていない」として完全責任能力を認め、求刑通り死刑とした。

 一方、2審判決は、新たに実施した精神鑑定に基づき「妄想性障害が非常に悪化」していたと判断。「被害者が長年攻撃してきていることに対する報復」などという動機は「妄想でしか説明できず、妄想性障害の強い影響を受けていた」として、心神耗弱状態だったと認定した。その上で死刑が相当としつつ、心神耗弱者の刑を減軽するという刑法の規定に基づき、無期懲役とした。

 弁護側が、無罪となる心神喪失を主張して上告したが、検察側は上告を断念。刑事訴訟法は被告側だけが上告した場合、高裁判決より重い刑を言い渡すことができないと定めており、死刑の回避は確定的だった。

 2審判決によると、平野被告は27年3月9日、洲本市の自宅近くの民家を襲撃し、男女5人(当時59~84歳)をサバイバルナイフで刺殺した。

■裁判員の死刑破棄、確定は7件目

 裁判員裁判の死刑判決が高裁で破棄され、無期懲役が確定するのは淡路島5人殺害事件で7件目となる。裁判員裁判では、国民の感覚を反映した1審判決を上級審も重視する「1審尊重」の流れが定着しつつあるが、死刑判決だけは事情が異なる。

 淡路島の事件と平成27年の埼玉・熊谷6人殺害事件は、責任能力をめぐって1審と2審の判断が分かれた。いずれも高裁が被告の精神状態を慎重に検討した末、心神耗弱状態と認定。1審の死刑判決を破棄し、無期懲役に減軽した。

 一方、千葉県松戸市の女子大生殺害事件など残る5件は完全責任能力を認めた上で量刑が争点になった。各高裁は、死刑適用の判断基準に被害者の人数や殺害の計画性を挙げる最高裁の「永山基準」に照らした従来の枠組みを維持し、死刑を回避した。

 最高裁も27年、松戸の事件を含む決定で「究極の刑罰である死刑の適用は慎重さと公平性が求められる」とし、裁判員裁判でも過去の量刑傾向を重視すべきだとしている。

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