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原発事故避難者訴訟の東京高裁判決要旨

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 東京電力福島第1原発事故避難者の集団訴訟で、21日の東京高裁判決の要旨は次の通り。

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 【予見可能性】

 国の地震調査研究推進本部が平成14年7月に公表した「長期評価」は、三陸沖北部から房総沖で約400年間に3回起こった津波地震と同様の地震が、その領域のどこでも発生する可能性があるとした。だが、前提となる「約400年間に津波地震が3回発生」について異論があったほか、同年2月に土木学会原子力土木委員会の津波評価部会が公表した「原子力発電所の津波評価技術」の知見とも整合しない。長期評価の知見からは津波の発生を予見できなかった。

 【結果回避可能性】

 長期評価の知見に従って東電が行った津波評価に関する試算を前提に、防潮堤などを設置したとしても、津波の原発内への浸水は防止できなかった。事故前の水密化措置は、原子炉施設内の機器室の入り口扉といった局所的・部分的なもの。原子炉施設の安全機能を保持するだけの水密化技術は確立していなかった。従って、長期評価の知見を前提に水密化措置を講じたとしても、事故を回避できなかった。

 【国の責任】

 長期評価公表後の国の津波対策に問題があったとまで認めることは困難。総合考慮すると、経済産業相が東電に規制権限を行使しなかったことが、許容限度を逸脱して著しく合理性を欠くものとは認められない。

 【東電の責任】

 東電は事故と相当因果関係がある損害について賠償責任を負う。誰もが居住地や環境で平穏な日常生活を送り、コミュニティーの中で人格を形成、発展させる人格的利益を有する。避難指示で避難を余儀なくされた人は人格的利益を侵害された。指示によらない避難でも放射線量、原発からの距離、避難時期などを考慮し、合理的と評価できる避難は、事故との間に相当因果関係がある。

 【慰謝料】

 慰謝料は従前の生活状況、避難と避難生活の状況などを考慮して算定する。避難指示対象区域が1100万~1500万円、旧緊急時避難準備区域と旧特定避難勧奨地点が260万~580万円、自主的避難対象区域が30万~70万円。認容額は既に東電から受領した分を控除した残額となる。

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