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公選法違反事件 河井案里被告の東京地裁判決要旨

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 令和元年7月の参院選広島選挙区をめぐる公選法違反の罪に問われた参院議員、河井案里被告を有罪とした21日の東京地裁判決の要旨は次の通り。

<< 下に続く >>

 【主文】

 被告を懲役1年4月に処する。この裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予する。地元議員1人に対する買収、事前運動については無罪。

 【事実認定の理由】

 ▽選挙情勢

 選挙区は定数2で、現職の参院議員が2人いるところに案里被告が立候補を表明していた。案里被告は支持地盤が広島市安佐南区に限られ、夫で元法相の衆院議員、克行被告の地盤も広島3区にとどまっていた。自民党県連は現職を支援し、夫妻は地盤外で県議らの支援が期待できず情勢は厳しかった。

 案里被告が地元議員らに現金を渡した時期は公示日が迫る時期だった。額は30万~50万円で相手の立場や選挙で期待された役割に照らし、案里被告への投票や票の取りまとめといった選挙運動の報酬として相応に見合った。

 弁護人は相手への当選祝いや陣中見舞いにすぎなかったと主張するが、選挙情勢や現金授受の時期や状況、相手の立場、金額を総合すれば選挙買収だったと認められる。

 ▽克行被告との共謀

 夫妻の共謀を認定する上で重要な証拠は広島市にある自宅の克行被告の書斎で発見・押収された政治家リストや名簿だ。リストは克行被告が、自分や案里議員が金を渡した相手や額を取りまとめ、名簿は現金授受に先立って誰が誰にいくら渡すのかが記載されていた。克行被告はこれらを作成・保管し、案里被告の当選に向けた活動全般を取り仕切る立場だった。現金交付も克行被告が全体を計画し、取り仕切っていた。案里被告による4人への現金交付も克行被告が差配したと認められ、夫妻の共謀を認定した。

 ▽一部無罪の理由

 克行被告がスタッフを通じて買収目的で地元議員1人に現金10万円を渡したことは認められる。しかし案里議員には、克行被告の指示でスタッフが地元議員に金を渡すかもしれないとの認識はあっても確定的ではなかった。現金供与を企画・主導したのは克行被告で、案里被告の積極的な関与や強い影響は認められず、案里被告がスタッフを通じて犯罪を遂行したと認められる状況はない。この地元議員への現金供与については案里被告と克行被告の共謀を認めるに足りる立証はされていない。

 【量刑理由】

 民主主義の根幹である選挙の公正を害する犯行だ。案里被告は自ら実行に及び、地元議員4人への供与額は30万~50万円の計160万円と多額に及ぶ。刑事責任は重い。

 懲役刑を選択して刑期を定めた。公民権停止を5年より下回る特段の事情はなく、(刑の)猶予期間は5年とした。

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