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事件化された「客待ち」スポット 摘発された女たち

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リニューアル前の泉の広場=平成31年3月、大阪市北区 1/1枚 【衝撃事件の核心】

 大阪で定番の待ち合わせスポットとして長年親しまれてきた梅田地下街の「泉の広場」。多くの人に利用される一方、周辺の住民や飲食店関係者が悩まされてきたのは、売春相手を探して立ち続ける「立ちんぼ」と呼ばれる女性たちの存在だった。これまで摘発は難しいとされてきたが、大阪府警が約1年がかりで61人の立ちんぼの現行犯逮捕に踏み切った。捜査員らの「何とか風紀を正したい」という執念が結実した形だ。(木下未希)

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 ■売春認定難しく

 泉の広場の中央に設置された円形の噴水を囲うようにしながら、相手を待つ人たち。その中に、長時間ひたすら立ち続ける女がいた。通行人を目で追い、目が合うとにこりとほほ笑みかける。

 少し離れた場所から様子を見ていた男が、女に近づいて話しかけた。「立ってんの?」。女がうなずくと、そのまま値段交渉に話が進む。やがて、2人は近くのラブホテルへ向かった。

 府警によると、泉の広場では少なくとも15年前からこうした立ちんぼが多数いたという。ただ、声をかけられるまで待ち続けるだけという独自の客待ちスタイルゆえ、「売春婦」と認定するのが難しく、捜査員らは手をこまねいていた。

 そうした中、府警は令和元年から2年にかけて、売春防止法違反容疑で、立ちんぼをしていた当時17~64歳の女計61人を現行犯逮捕。摘発の決め手となったのは同法の解釈だった。

 ■客待ちは処罰対象

 従来売春婦の取り締まりに適用されていたのは、同法5条1号。処罰対象について、「公衆の目にふれるような方法で人を売春の相手方となるように勧誘すること」と規定している。売春婦が言葉で誘ったり、腕を引っ張る、もしくは体をすり寄せるなどの行為がこれに当たる。

 しかし、立ちんぼの多くは自分から声をかけるなど行動を起こすことはなく、捜査員が存在を確認したとしても、摘発できないケースが多かった。

 そこで府警が着目したのが、5条3号で処罰対象としていた「公衆の目にふれるような方法で客待ちをし、また広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること」だ。これなら、積極的な勧誘がなくとも、公衆の場で売春の目的があるように多数の人に示した状態で「客待ち」をしていれば処罰対象となる。

 ただ、散歩や待ち合わせと区別がつきにくく、売春婦と客観的に判断する基準が曖昧であることから、他の都道府県警でもこれまで3号の適用には消極的だった。

 一方、立ちんぼの“拠点”と化した泉の広場については、治安悪化や風紀の乱れへの懸念もあり、近隣の飲食店や住民からは「何とかできないか」と多くの苦情が寄せられていた。府警は検察庁と協議を重ね、3号を適用した立ちんぼの大規模摘発に乗り出した。

 ■学生や主婦も

 61人は釈放後、同容疑で書類送検され、罰金刑を受けるなどした。大阪や京都、兵庫など関西圏のほかに、長崎や香川など遠方からも訪れていた。半数以上が無職だったが、中には学生や主婦も。立ちんぼになった理由もさまざまで、「生活費を稼ぐためにした」「借金を返すためだった」などのほか、「遊ぶ金が欲しかった」「ホストクラブに費やすためだった」と説明する者もいた。

 昨年12月にリニューアルから1年を迎えた泉の広場。かつてのシンボルだった噴水は撤去され、35の新規店舗が進出し、昼夜問わず多くの人でにぎわいを見せている。そこに立ちんぼの姿はない。

 泉の広場を管理する「梅田地下街」の担当者は「女性や若者の通行量が増え、全体的な雰囲気も明るくなり、活気のある街になった」と喜ぶ。一方、府警生活安全特別捜査隊は「今回の取り締まりを先例として、今後も新たな立ちんぼスポットがあれば積極的に事件化していく」としている。

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