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大臣室侵食する政界工作 アキタ社元代表 農水族議員“手駒”に

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産経新聞

鶏卵生産大手「アキタフーズ」グループの秋田善祺元代表 1/1枚  吉川貴盛元農林水産相(70)が大臣在任中に現金500万円を受領した汚職事件で、吉川被告とともに在宅起訴された鶏卵生産大手「アキタフーズ」(広島県福山市)グループの秋田善祺(よしき)元代表(87)。「鶏卵業界のために」と複数の農水族議員らに接近し、多額の現金を配っていた。会社経営を息子に任せて「ひたすら政界工作に徹した」(同社幹部)といい、現職大臣へも侵食。大臣室も贈収賄の舞台となった。

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 「西川、吉川は俺を大切にしている。河井は金ばかり欲しがる」。昨年春、アキタ本社3階の会議室。秋田被告は社員らを前に、吉川被告を含む政治家3人の名前を呼び捨てにし、自慢げに語った。

 関係者によると、秋田被告は平成21年の広島県知事選に立候補した参院議員、河井案里被告(47)=公選法違反罪で公判中=への支援をきっかけに、夫で元法相の衆院議員、克行被告(57)=同=との付き合いを始めたという。

 また、養鶏業界に詳しい農水族議員とのパイプを重視し、内閣官房参与を辞任した西川公也元農水相(78)の接待も繰り返した。25年、吉川被告が農水副大臣に就任すると、克行被告の紹介で吉川被告との交流が始まり、汚職事件の舞台が整った。

 21年、旧民主党政権になった際には民主側へ人脈を広げ、自民党政権に戻れば自民側の政治家らに足しげく通った。政権交代当時、「農業は日和見でいくしかない」と口にしたという。

 「書類を置いておきますよ」。31年3月26日、秋田被告は大臣室で吉川被告に現金200万円を手渡した際、こう言い添えたという。「書類」と言い残すのがいつもの手法だった。秋田被告は「配慮をありがとうございました」とも付け加えた。

 謝意には理由があった。家畜のストレスを減らす飼育方法「アニマルウェルフェア」(AW)をめぐり、業界団体幹部だった秋田被告はロビー活動を展開。日本の養鶏業界に不利な内容だった国際獣疫事務局(OIE)の国際基準案に対し、政府は31年1月、反対意見を提出していた。

 政界へのロビー活動には多額の現金がついて回った。

 《(平成30年)11/20 1000000、2000000》《12/3 5500000》《12/18 1000000》

 東京地検特捜部が押収したとされる手書きのメモには、秋田被告から政治家らに渡ったとみられる金額が記録されていた。メモからは、30年2月~31年4月に計3300万円の支出があったことがうかがえる。

 吉川被告には27年以降、大臣在任中も含め現金だけで1800万円、西川氏にも同額程度が渡ったとみられる。ほかにも農水族議員を中心に多くの政治家のパーティー券を購入していた。

 傘寿をとうに超えながら引退せず、東京と福山を行き来し、政治家や官僚らと会合を繰り返していた秋田被告。周辺に「大切なのは、重要事項を取り仕切る農水省の課長クラスと強固なパイプを持つこと。そのためには農水族議員とのつながりが必須になる」とも語っていた。

 業界関係者は「秋田被告は、農水官僚が部長級に出世する前から交流を重ねて関係を築き、業界の要望を反映するのが得意だった」と振り返る。秋田被告は30年1月~令和元年末、農水省幹部らと省内外で少なくとも40回以上面会。最も信頼を寄せていたという元農水官僚は昨年7月、西川氏とともに約20億円で購入した豪華クルーザーの接待に招待されていた。

 特捜部の捜査がヤマ場を迎えた年明け、秋田被告は親しい業界関係者に対し、こうつぶやいたという。

 「やっとの思いで築いてきた農水族議員、農水官僚との人脈が事件のせいで途絶えてしまう」

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