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きっかけはウエディングドレス 入籍1カ月半の元教諭はなぜ新妻を殺害したのか

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1/1枚  二人が入籍したのは事件のわずか1カ月半前。こんな結末を誰が予想できたのか。大阪府豊中市の自宅で昨年12月、26歳の妻の首を電気コードで絞めて殺害したとして、府立支援学校元教諭の男(29)が逮捕された。「幸せにしてあげられなかった」。殺人罪で起訴された男は大阪地裁の裁判員裁判で、妻への思いをこう口にした。マッチングアプリ、束縛、そして“露出が多い”ウエディングドレス。公判で明かされた衝撃の事実は-。

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仲良し夫婦、一方で…

 11月7日の初公判。細身で色白の被告の男は、傍聴人で満席の法廷へ、うつむきがちに現れた。

 《忘年会早く終わらんかな、会いたい》《一緒に家でラブラブしたいね》

 弁護人が読み上げたのはLINEでの二人のほほえましいやりとり。日付は昨年12月14日、事件の2日前だった。

 二人はやりとりの半年前の昨年6月にマッチングアプリで出会って意気投合、すぐに交際を開始した。同11月には入籍し、翌年には海外挙式を控えていた。

 男は当時、府内の特別支援学校で勤務し、「大変だったがやりがいを感じていた」。妻との関係については「出かけるときはいつも手や腕を組み、他と比べても仲の良い夫婦だったと思う」と述べ、充実した生活を送っていたかのようにみえた。

 その一方、夫婦間では口げんかも絶えなかったようだ。男は、妻の交友関係をめぐり「週1回はけんかがあった」と説明。これに対し、妻は実の母親に「(夫の)束縛が激しくて自由がない。友達と連絡をとるなといわれた」と愚痴をこぼすこともあったという。

激しい口論

 事件のきっかけは昨年11月下旬、結婚式のドレスの試着をめぐる口論だった。妻がインスタグラムに試着写真をアップしようとしたところ、男は「露出が多い」と制止。スマートフォンを取り上げようとしたことでけんかは過熱し、警察が仲裁に入る事態となった。ただ、その後、二人はよりを戻したという。

 そして12月16日。終わったはずのスマホの取り上げをめぐり、二人は再び口論になった。互いに感情が爆発し、3時間近くの激しい言い合いとなったという。

 妻「もう離婚したい。死んでほしい」

 男「じゃあ殺せよ。そうしたら離れられる」

 妻「死んでほしいけど、家族に迷惑がかかる」

 男によると、先に行動を起こしたのは妻だった。台所から持ち出した包丁で男の頭を切りつけ、床に血がこぼれた。妻がそれ以上攻撃する様子はなかったが、男は妻を何度も殴りつけたという。

 ここで終われば、行き過ぎた夫婦げんかで済んだかもしれない。しかし男は、その後の妻の言葉で「心の中で抑えていたものが、せきを切った」と話した。

 「お前が殺せと言ったんやろ」

数々の偽装工作

 そばにあった電気毛布のコードで、背後から妻の首を絞め続けた男。動かなくなった姿を見て、自分の犯した罪を自覚したという。

 一方、その後に取った行動は、妻への愛情を一切感じさせないものだった。

 男は激しく争った形跡を偽装するため、自らの首や体を包丁で切りつけ、「妻が包丁を振り回した」という嘘のメモを残した。そして救急車や警察を呼ばないまま浴室で自殺を図ったが失敗。親族の通報で翌日に警察官が発見するまで、妻の遺体はその場に放置されたままだった。

 被害者参加制度で法廷に立った妻の遺族は「男は嘘をついている」と涙をこらえ、厳刑を求めた。一方、男の弁護側は妻の攻撃に対する過剰防衛だったとして、酌量を求めた。

 11月13日の判決。森島聡裁判長が言い渡したのは、懲役10年(求刑懲役12年)の実刑判決だった。

 森島裁判長は男の行動について「殴る行為とコードで首を絞める行為は明らかに異質で、過剰防衛にはあたらない」と認定。その上で「被告は妻からの攻撃で負傷したが、そこに至る経緯は妻だけに責任があるものではなく、殺されるほどの落ち度はなかった」とし、犯行後の偽装工作を「身勝手な動機で妻の尊厳をおとしめた」と指弾した。

 公判で「幸せにしてあげられなくて申し訳ない」と妻に謝罪した男。1カ月半に終わった短い新婚生活は、最悪の結果で幕を下ろした。

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