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『ポーの一族』明日海りお「新しい環境の中でどう変わっていくか」チャレンジの舞台

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幻想的な「ポーの一族」の舞台。中央左がエドガーを演じる明日海りお、右がアラン役の千葉雄大(岸隆子撮影「Studio Elenish」) 1/2枚  元宝塚歌劇団花組トップスター、明日海(あすみ)りおの退団後初の舞台公演、ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』(脚本・演出、小池修一郎)が、大阪・梅田芸術劇場メインホールで開かれている。「新しい環境の中で自分がどう変わっていくのか…。チャレンジだと思っています」。宝塚の華麗な世界とは違う男女キャストによるリアルな世界に踏み出した明日海りお。魅力あふれる舞台が人気を集めている。(田所龍一)

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 『ポーの一族』は昭和47年「別冊少女コミック」で発表された萩尾望都(もと)さんの代表的な名作。永遠の時を生きるバンパネラの悲しい物語だ。

 一族を守るためにバンパネラにさせられた主人公エドガーと妹メリーベル。新しい血を求めポーツネル男爵夫妻とともに長い時の旅に出る。ある港町でエドガーは町一番の名家、トワイライト家の御曹司アランに出会う。不思議な力で引き付けられる2人。そして事件が…。

 平成30年に宝塚歌劇団花組で初演され、明日海演じるエドガーは、ブルーの瞳が輝き、まさに本の中から飛び出した妖精のような美しさで彼女の当たり役となった。3年ぶりの公演実現には「もう一度、明日海のエドガーが見たい」という萩尾さんの熱い思いもあった。

 男優たちに交じって明日海はどんな演技を見せてくれるのか。宝塚では柚香光(ゆずか・れい)=現花組トップ=が演じた相手役のアランをミュージカル初挑戦の千葉雄大がどう表現するのか、注目されている。

 「自分が納得のいくまで仕上げ、お客さまを“ポーの世界”に誘います。どうか安心して見に来てください」。明日海のことば通り、舞台の中央に立った彼女は宝塚とは違う輝きをみせた。

 男優たちの深く響く低音、女優たちの透き通った歌声、会場の端までしっかりと通るせりふ…。どの場面も安心して見られる大人の舞台。宝塚時代のような下級生たちへの気遣いやトップとしての気負いは必要ない。明日海の演技には周囲に安心して身を任せた余裕が感じられた。

 キャストも頼もしい。ポー一族の長、大老ポーを演じる福井晶一は劇団四季出身。『美女と野獣』で野獣ビースト役を務めた実力のあるベテラン俳優。そして医師のクリフォード役には歌舞伎界のプリンス、中村橋之助。アラン役の千葉は「エドガーと対のようで、2人の世界観をビジュアルで感じてほしい」と少女のようなはかなげな表情で観客を魅了する。

 女優たちも豪華絢爛(けんらん)だ。捨て子だったエドガー兄妹を育てたポー一族の老ハンナと霊能者ブラヴァツキーの2役を、元宝塚歌劇月組のトップスター、涼風真世(すずかぜ・まよ)が務める。抜群の歌唱力と妖艶な彼女の魅力は健在。宝塚版の「ポー」にはない涼風のソロの歌声が舞台をさらに盛り上げていく。

 他にもポーツネル男爵夫人のシーラを明日海と同期(89期生)だった元星組トップ娘役の夢咲(ゆめさき)ねね。妹のメリーベルを綺咲愛里(きさき・あいり)=96期生、元星組トップ娘役=と元タカラジェンヌが務めている。明日海が安心して身を委ねられるもうひとつの理由だろう。

 小池氏が萩尾さんに上演許可を求めてから宝塚で初演を迎えるまで33年かかった。萩尾さんは「待ったかいがあった」とつぶやいたという。

 3年ぶりに復活した『ポーの一族』。そして明日海りおの新世界への第一歩。舞台を見終わった観客もきっと思うだろう。待ったかいがあった-と。

 大阪公演は26日まで。東京公演は2月3日から17日まで、東京国際フォーラムホールCで上演予定。

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  • 「ポーの一族」で明日海演じるエドガー(左)と千葉演じるアラン(岸隆子撮影「StudioElenish」)

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