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「ヘリ中継」 阪神・淡路大震災、上空からの的確なリポートに感銘 自分は難しさに冷や汗、超どうでもいい最新情報をひねり出すのみ

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産経新聞

1/1枚 【テレビ用語の基礎知識】

 もう26年になるのですね。毎年1月17日が近づくと様々な思いが胸に浮かびます。阪神・淡路大震災のとき僕は警察担当の記者をしていて、発生からしばらくは警察庁に詰めて最新の被害統計を担当し、増えていく死者数に泣きました。

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 その後現地に飛び、ほぼ1カ月間、神戸市を中心に被災地を取材しました。子供の頃、兵庫県に住んでいましたし、親戚もいるので、取材していてあんなに辛くて悲しかったことは後にも先にもありません。

 しんみりするのはこの連載っぽくないので話を先に進めますが、あの震災のとき僕が一番驚いたのは、大阪の朝日放送に当時いた、とある記者です。発生直後からずっとヘリコプターに乗り、被害状況を伝えるのですが、場所を上空から判断して、「〇〇市〇〇町周辺に火の手が上がっています」と的確にレポートされるので感銘を受けました。

 報道ヘリの騒音が被災者の方の邪魔になったり、救助活動を妨げたりしないようにしなければならない、ということが意識され始めたのもあの頃でしたね。

 放送記者をしているとヘリに乗って生中継をすることが結構あるのですが、なかなか難しいのです。ヘリに記者が同乗する場合はだいたい「ニュースの時間直前に事件事故が発生し、地上から現場に間に合わない」場合が多いので上空から中継するのですが、なにせ上空にいるので取材できません。

 上から見た感じで分かること、例えばあたりがどんな状況かとかは話せますが、細かい情報ははるか上空にいるので物音も聞こえませんし、何も分かりません。本社から無線で情報を教えてもらってそれを話すしかないのです。

 ある時、夕方のニュースの最中に立てこもり事件が起きてヘリに乗り、15分おきくらいに「最新の情報を伝えてください」と中継させられた時には本当に困りました。そんなすぐに進展するわけがないですし、上空から見たら警察が現場を取り囲んでじっとしてるだけで、何も変化がない。本社に無線で捜査情報を聞いても、何もない。

 一体何を話せと? 仕方ないので、「あたりの道路に車が増えてきた。おそらく帰宅時間帯だからではないか」とか、超どうでもいい最新情報を無理やりひねり出すしかありませんでした。

 社会部記者として東京ヘリポートに「ヘリ番」で詰めていたのですが、正直ヘリ番は何もなければ楽勝なので、完全にダラけていたら勤務終了間際に出動し、上空で冷や汗をかくとは思いませんでした。

 ■鎮目博道(しずめ・ひろみち) テレビプロデューサー。上智大学文学部新聞学科非常勤講師。1992年テレビ朝日入社。社会部記者や、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAの立ち上げに参画。「AbemaPrime」、「Wの悲喜劇」などを企画・プロデュース。2019年8月に独立。

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