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音楽業界にも打撃! 求められる経営転換

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産経新聞

中止となったボブ・ディランのコンサートも大きな損失を生んだ(ロイター) 1/1枚  【検証!芸能界 ポストコロナを生き抜くために】

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 コロナ禍は歌謡界も直撃した。五木ひろしは14本(2~6月)、八代亜紀が5本(6~7月)、石川さゆりは8本(3~7月)、松山千春は23本(4~7月)。コロナ禍で延期になった大物歌手のコンサート本数だ。

 夢グループは86会場90公演が延期になった。さらにEXILE、星野源、福山雅治といったアーティストも同じだ。とりわけボブ・ディランは全15公演が中止になり、チケット収入だけで7億円の損失とか。イベント業界のチケット代の損失は200億円以上ともいわれている。

 歌手たちは断腸の思いで延期を決断した。なかでも影響が大きいのは稼ぎの中心が劇場になる演歌歌手たち。市町村のホールや公民館は、お上が「自粛」といえば終息するまで借りられない。第2波、第3波が来れば、中止の可能性も高い。

 平成になって演歌歌手のCD売り上げは全体の10%に満たず、収入のメインは公演。そのせいかNHK紅白歌合戦に出場して顔を売るのが最大の目標になる。演歌歌手の受難はこれからも続く。

 一方でバンド系の事情は少し違う。彼らはライブハウスなどで無観客ライブを行い、サザンオールスターズのように有料配信でギャラを得る。さらにネットでの“投げ銭”もバカにできない。この方法はすでに定着し、ミュージシャンの大きな収入源になっている。

 この方法もいずれは限界がある。生の演奏を聴き、踊りが見られるコンサート活動を求めるファンの声は後を絶たない。

 芸能プロダクションの今後の経営転換は必至だ。マネジメントとCM収入だけに頼る経営は今後も予断を許さない。コンサートやイベントに代わるソフト開発など、芸能プロの活動分野の転換は喫緊の課題だ。タレントの所属制を転換し、スポーツ選手から文化人、学者、経営者、政治家など幅広い分野の人材を含めて、エージェント制度の導入が検討されている。コロナ後はマネジメントから広報宣伝活動、CM出演のなどの代行業務を近代化して契約制にすることになりそうだ。

 総合エンターテインメント企業としてチケット販売から番組、CM制作能力を持つ広告代理店のような経営形態の必要性が叫ばれている。そこに気づかない旧態依然の芸能プロダクションは間違いなく淘汰される。コロナ禍は舞台、映画、レコード業界を含めたエンタメ業界全体の転換へのきっかけになるだろう。(芸能文化評論家・肥留間正明)

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