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脱炭素で攻勢かける大手住宅メーカー 業界の対応には課題も

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積水ハウスのZEH。断熱などで省エネ性を高め、屋根に設置の太陽光発電などで電力をまかなう(同社提供) 1/1枚  日米首脳会談で2030年の温室効果ガス削減目標の引き上げが確認され、産業、運輸など各分野ごとで排出削減の取り組みが急務となってきた。二酸化炭素(CO2)排出量の約15%を占める家庭部門の取り組みも重要で、住宅メーカーはエネルギー消費を減らす住宅の開発や、再開発地区全体で再生可能エネルギーの電力を活用するなどの取り組みを加速させている。(黒川信雄)

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 積水ハウスは、太陽光発電などを装備し断熱性能も高めてエネルギー消費を実質ゼロにする「ゼロエネルギーハウス(ZEH(ゼッチ))」と呼ばれる住宅に注力する。同社によると、一般的な戸建て住宅でのCO2排出量は年間4トン程度だが、ZEHでは1トン以下に抑えられるという。

 令和元年度に同社が建設した戸建て住宅の87%はZEHで、これは国内トップの比率だ。ZEHは電気料金を抑制できるだけでなく「災害時に電力を供給できる点も評価されている」(積水ハウス・近田智也執行役員)。賃貸用マンションにもZEHの導入を進めており、好評という。

 再生エネを利用した街づくりを進めるメーカーもある。大和ハウス工業は3月、千葉県船橋市の工場跡地に住宅や商業施設を一体的に整備した「船橋グランオアシス」を開業した。居住者の使用電力をすべて、建物に設置した太陽光発電設備や、グループ企業が他県で運営する水力発電設備などでまかなっている。

 大和ハウスの小山勝弘環境部長は「このような取り組みをしないと企業が評価されない時代」と語る。

 ただ、環境性能の高い住宅の普及は緩やかだ。経済産業省によれば、新築戸建てに占めるZEHの割合は元年度で13%。ネックは価格で、同規模の戸建て住宅と比較した場合、ZEHは400万円程度高いとされる。「環境意識が高い顧客層にアピールする狙い」(住宅メーカー)もあるが、幅広い顧客層をつかみきれていない。

 ZEHには最大140万円の国の補助金があるが、業界関係者は「補助金の拡充など、さらなる施策が必要」とする。

 ■ZEH(ゼッチ) 「Net Zero Energy House」の略。太陽光発電や燃料電池といった自家発電設備による「創るエネルギー」と家庭で使う「消費エネルギー」を同量にし、正味(ネット)で年間のエネルギー収支ゼロを目指す住宅。消費エネルギー削減のため、断熱性の高い部材の使用や高効率な冷暖房、照明などを導入する。国はZEHに認定すると補助金を支給。ZEHで位置付ける消費エネルギーとして、国は冷暖房や照明、給湯などをあげている。

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