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基本は「390円」ロイヤルティー無料も…スパイスカレーがコロナ禍の飲食店救う

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神戸・三宮の地下街に昨年10月開店した「スパイスドリーム」1号店 1/2枚  新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受ける飲食店が、空き時間などを利用してさまざまな形態で収益を上げられるスパイスカレーのチェーンが立ち上がった。仕掛けるのは東京・六本木などで高級食材の専門店街を運営する企業グループが設立したスパイスドリーム(兵庫県芦屋市)。コロナ禍で顧客が減ったバーや、移動店舗の運営会社などがすでに参加を決めている。谷直樹社長(41)は「3年でまず50、そして10年では千事業者の参加を目指したい」と意気込んでいる。(黒川信雄)

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 23種類のスパイス

 銀色のプレートに盛られたもち麦入りごはんの両側に2種類のカレールーが注がれ、上には特製の漬物ものせられる。見た目は非常にシンプルだ。

 しかし、口に運ぶとツンとした心地よい香りと辛さ。それもそのはずで、ルーにはそれぞれ23種類ものスパイスが使用されているという。食べ進めると血の巡りが速まるような感覚になり、体全体が温まった。料金は390円。昼食代を節約したい会社員にはぴったりだ。

 神戸・三宮の地下街に昨年10月開店した「スパイスドリーム」の1号店。飲食店がひしめく地下街には他のカレー店も数多くあるが、昼にはサラリーマンらでごった返すという。

 自由な発想でビジネスを

 「店舗の空き時間を使う形式でも、イベント屋台でも、宅配でもいい。自由な発想でビジネスを構築してもらいたい」

 谷社長はチェーンへの“参加しやすさ”を強調する。同社が準備するカレールーを使い、390円の基本メニューを提供してくれれば、既存の飲食店の休憩時間を使って販売する形態でも、店舗を持たないキッチンカーや宅配のみの形態でもよく、多様な参加が可能になる。レストランなどでメニューだけを導入することもできる。

 谷社長はもともと、六本木や芦屋で高級食材の専門店街「グランドフードホール」を展開するスマイルサークルの社員として、百貨店向けの食材調達などに携わっていた。

 「安くても体に良い昼食を提供したい」という発想で新事業を検討していたところ、顧客だった兵庫県尼崎市の老舗カレールー会社のルーを使い、体に良いとして近年注目が高まっているスパイスカレーのチェーンを展開するビジネスを考えついた。

 小規模店舗でも短時間で本格的なスパイスカレーを調理できるよう、専用のルーを開発。グループ内で検討を進めた結果、令和元年7月にチェーンを展開するための会社としてスパイスドリームを立ち上げた。

 もともとは居酒屋やバーなど夜間営業する飲食店が昼間にカレーを販売する「二毛作」ビジネスを基本形態として想定していた。同年8月には東京・新橋の焼き鳥店で試験的に事業を開始し、昼の2時間半のみの営業で1日約180杯売れるほどの人気を集めた。

 ロイヤルティー無料も

 「これはいける」と手応えを感じていたとき事態は急変した。新型コロナ禍の発生だ。

 谷社長は「コロナ禍で経営が悪化したさまざまな業態の飲食店が、もっと事業をしやすくできないか」と検討した結果、実店舗を持たなくてもキッチンカーや宅配、さらには既存のメニューにスパイスドリームのカレーを取り入れるだけの展開もできるようにし、事業者の負担を可能な限り軽減した。形態次第では加盟金やロイヤルティーなども無料にした。

 新橋の試験事業は昨年8月末に終了したが、10月には神戸で1号店がオープン。ホームページを使った宣伝や、今年1月には関東で開催された飲食店業界の展示会にも出展し、営業活動を続けた結果、昼間にカレーを提供したいバーや、イベント会場で食べ物を販売する会社、民泊運営事業者など6事業者が参加を決めた。さらにカラオケ店やビジネスホテルなども参加を検討しているという。

 「加盟金などを抑制した分、運営は決して楽ではない」と谷社長は明かす。ルーは高品質で、原価率も高い。参加のためのハードルを下げ、トッピングなどを自由にメニュー化できることで、各事業者が収益を上げられるよう工夫を凝らしている。

 谷社長は「事業者とともに知恵を出し合い、何としてもコロナ禍を乗り越えたい」と熱い思いで前を向いている。

写真一覧

  • 2種類のカレールーが注がれるスパイスドリームのスパイスカレー

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