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変異株、封じ込め失敗なら「経済損失3~4倍」の試算

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産経新聞

英国に由来する新型コロナウイルスの変異株の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供) 1/1枚  新型コロナウイルスの緊急事態宣言が全面解除されてからわずか3週間で「蔓延防止等重点措置」が東京都を含む各地に広がることになり、持ち直しかけた景気に冷や水を浴びせた。感染力が強い変異株の流行による経済的な損失は、従来株と比較して3~4倍に上るとの試算も出ている。重点措置の内容自体は2度目の宣言と大きな違いがなく、感染拡大の抑制に失敗すれば対象地域の拡大などで損失が一層増えかねない。

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 「宣言解除で5、6人の飲み会予約がちらほら入るようになったが、よくしゃべる客を見るとまた感染者数が増えると心配だ」(東京都のレストラン経営者)

 内閣府が3月25~31日に実施した景気ウオッチャー調査では、個人消費の挽回に期待しつつ感染再拡大を懸念する声が相次いだ。不安は的中。人の動きが活発化したことで街角の景気実感を示す指数は2カ月連続で大幅に改善したものの、その後は急転直下で自粛要請が強まる結果になった。

 一方、感染力が強い変異株の封じ込めはこれまでより強力な経済活動の制限が必要になると指摘され、飲食店などサービス業の業績悪化や個人消費の落ち込みも深刻になる恐れがある。

 東大の藤井大輔特任講師と仲田泰祐准教授の推計では、宣言を再発令した場合の損失は従来株のみの流行なら東京都内だけで今後1年間に1兆1242億円。これに対し変異株が比較的穏やかに増えた米国のようなケースで2兆113億円、急速に増えた英国のようなケースで3兆7619億円に跳ね上がる。

 ただ、国民の自粛疲れは深刻で、重点措置の発令後も感染再拡大を抑制できるか心もとない。第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストの試算では、6都府県に拡大した重点措置の影響で、個人消費は1906億円押し下げられる。対象地域が広がれば損失はさらに拡大する見込みだ。都道府県を越えた移動自粛の徹底やワクチンの接種加速など、迅速な対応で変異株をブロックできなければ、反転攻勢が期待されていた新年度の景気は出足からつまずく。(田辺裕晶)

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