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ネット通販好調で物流施設用地の地価上昇 住宅メーカーなど開発競争

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産経新聞

主に物流施設の需要を受けて上昇した全国の工業地 1/1枚 【経済インサイド】

 国土交通省が発表した今年1月1日時点の公示地価は、新型コロナウイルス禍に伴うインターネット通販の需要拡大を受け、大型物流施設に適した地点を含む工業地の上昇が目立った。ネット通販はコロナ禍に伴う巣ごもり需要が後押しとなり伸長している。こうした動きを背景に、物流施設の開発を大手デベロッパーや住宅メーカーなどが積極的に進め、用地取得の競争が過熱。他社との差別化を図る試みも始まっており、地価上昇につながっている。

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 「EC(電子商取引)市場拡大に伴う物流施設の賃貸需要は想像以上に高まっている」

 三井不動産は3月、東京湾を望む新木場(東京都江東区)や、神奈川、福岡、三重の3県で新たな物流施設を開発する計画を発表した。同社幹部は「ICT(情報通信技術)の活用で非接触や自動化、機械化を進め、多様化するニーズに対応したい」と話す。

 ネット通販を手掛ける事業者は、在庫を多く抱えるため一定の面積が確保できる拠点が必要となる。そのためネット通販需要の拡大は物流施設の開発加速に直結する。

 群馬県前橋市では3月下旬、大和ハウス工業が開発を進めてきた物流施設が完成したばかり。同社は今年11月にも、広島市の広島西飛行場の跡地で建設を進める大型物流施設が完成予定だ。札幌市でも来年5月末の完成を目指し、物流施設の開発を進めている。

 各地で物流施設の開発が進む中、用地取得の競争は激しさを増している。

 ある不動産大手幹部は「正直言うと土地代が高くなりすぎている」とこぼす。別の不動産会社首脳も「土地取得は非常に過熱していて価格が高騰している。施設の賃料も相当高くなっている」と明かす。

 用地取得の競争が激しさを増す中、他社との差別化を図って競争を優位に進めようと、物流施設の付加価値を高める取り組みも進む。

 野村不動産は、千葉県習志野市で同社が手掛けた地上5階建ての物流施設の1階に設けられた区画で、物流業務の自動化や省人化に向けた機械導入の実証実験を始める。同社が中心となり、荷主や物流関連の機器メーカーなどの企業を集めたコンソーシアム(企業連合)をつくる。4月から事業者の公募を始め、9月ごろから実験に向け本格的に連携を進めるという。

 物流関連の機械導入はある程度高額な投資となるため、荷主などの関連事業者にとってはリスクの伴う判断といえる。実証実験は、どの機械を組み合わせると業務効率が最適化できるか確認し、機械の導入可否を判断するのに役立つと期待される。

 野村不動産は、本来なら倉庫として貸し出して賃料を得られる物流施設内のスペースを実証実験のために開放することになる。同社の担当者は実証実験の狙いについて「用地代は上昇しており、床を作って貸すだけでは競争には勝てない。付加価値を高めて、物流分野の投資を加速させる」と語る。

 不動産サービス大手のジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)リサーチ事業部の谷口学氏は、「大型の物流施設は一度に高額投資ができるため効率のいい投資先と考える機関投資家も少なくない」と分析。「不動産各社や商社など開発に乗り出すプレーヤーが増えて土地取得が過熱し、地価が伸びている」として、こうした土地の価格は今後も上昇基調が続くとの見方を示した。(経済本部 岡田美月)

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