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世界経済、前途に難題 途上国と先進国で格差 IMF「金融リスク」

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産経新聞

 【ワシントン=塩原永久】国際通貨基金(IMF)は最新の世界経済見通しで、新型コロナウイルスが途上国や貧困国にもたらした打撃の長期化に懸念を示した。巨額の経済対策を実施した先進国主導の回復を歓迎する一方、途上国との「異なる回復スピードが金融リスクになり得る」と指摘。米国の景気回復に伴う金利上昇が、新興国や途上国からの資金流出を招く恐れに警鐘を鳴らした。

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 IMFによるとコロナ危機を受けた主要国の財政出動の規模は計16兆ドル(1760兆円)に達した。2020年の世界成長率はマイナス3・3%だったが、こうした景気対策がなければ「昨年の景気悪化は3倍悪い水準になっていた」と試算する。

 米国などで大型対策が成立し、IMFは6%の世界成長率を想定する。コロナ禍前の19年末の国内総生産(GDP)水準を牽引(けんいん)役の米国は21年前半、日本は21年後半に回復する見通しになったという。

 ただ、米中や先進国に比べ、財政余力に乏しい途上国や貧困国が、コロナ禍前の経済規模を取り戻すのは23年以降になるとIMFは分析。低所得国への打撃は長引く見通しだ。

 IMFは見通しに「極めて高い不確実性がある」としており、成長率を下押しするリスク要因に、世界各国・地域で囲い込みの動きがみられたワクチンの普及が遅れることや、長引く感染症の対策資金が不足することなどを挙げた。

 また、米国の景気が急回復して長期金利が上昇しており、ゲオルギエワ専務理事は「急速な金融引き締めで新興・途上国から資金の大規模流出が起きる可能性がある」と指摘。力強さに欠ける途上国や貧困国の経済が、さらに金融市場からの圧力という逆風にさらされる懸念があるとした。

 IMFは米連邦準備制度理事会(FRB)など先進国の中央銀行に対し、利上げなど金融政策「正常化」に向け、市場の混乱を招かないような慎重なかじ取りを促した。世界経済は薄氷の回復途上にあり、「手ごわい課題が待ち受けている」(ゴピナート・チーフエコノミスト)のが実情だ。

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