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中国外交トップの強がりは“負け犬”同然!? データが物語る実質的な「米ドル本位制」

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産経新聞

1/1枚 【お金は知っている】

 3月18日から2日間、米アラスカ州アンカレジで開かれた米中の外交トップ会談は、かつての最高実力者、トウ小平氏の遺訓、「韜光養晦」(とうこうようかい、能力を隠して力を蓄える)を廃棄した習近平中国家主席が牙をむき出しにした京劇のようだった。

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 中国側代表、楊潔チ共産党政治局員の会談冒頭の長広舌は日本国内の中国系メディアが19日にユーチューブを使ってノーカットで流した。日ごろ、政治的な発言をしない日本在住の中国人たちの多くがそれを見て、「楊さん、よくぞ言った」「中国は米国に負けない」などと、いつになくはしゃいでいた。

 筆者は楊氏の発言は中国自ら弱点を認めたようなものだと断じる。産経新聞電子版3月27日付の全訳版から拾い出すと、「米国が遠くまで及ぶ権限を行使して抑圧し、武力行使や金融覇権を通して国家安全保障を拡大することは問題であり、通常の貿易活動に対する障害を作り上げている」というくだりがそれである。

 「米国は中国に対して、強者の立場から話す資格は持っていない」「米国民は確かに素晴らしい人々だが、中国人民もそうだ。中国人民は過去に外国によってこれほど苦しめられただろうか。中国が外国の国々に包囲され始めてから、私は時々、確信を持てない」というのも、筆者には泣き言に聞こえる。中国金融の構造からすれば、そうとしか思えないのだ。

 グラフは中国人民銀行の人民元資金発行高(金融用語では「マネタリーベース」)と外貨準備高(外準)の前年同期比伸び率の推移である。一目瞭然、両者の増減率は寄り添っており、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の2018年からは極めて低い伸び率で連動している。

 人民銀行資金の発行の伸び率が昨年は2%弱に過ぎない。中央銀行資金は経済成長のために必要な原資とも言えるのだが、同年の名目国内総生産(GDP)成長率約3%を下回る。成長資金を十分に供給していないという意味で、中国は金融を引き締めている。

 筆者はかねてより、中国の通貨・金融制度は実質的には「米ドル本位制」であり、ドルが流入しないと人民元を刷れないという致命的なもろさを内包していると論じてきた。まさにデータはそれを物語る。

 より詳しく述べると、人民銀行は貿易黒字や外資の対中投資を通じて入る外貨を国有商業銀行などから全面的に買い上げ、人民元資金を銀行に注入する。つまり、外準が増えれば金融も拡張できるのだが、外準は巨額の資本逃避のために17年以来ほとんど増えていない。このため人民銀行資金発行に対する外準の比率は下がり続けている。

 12年半ばまではその比率は100%を超えていたが、この2月では65%台まで落ち込んだ。これ以上ドルの裏付けが弱くなると、中国内外からの人民元への信用が危うくなりかねない。だから、習政権はカネを刷りたくても刷れない。米国が対中金融制裁に踏み切れば、習政権は万事休すだ。。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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