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核廃棄物をカナダで処分構想 低い実現可能性 国内での最終処分を着実に

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産経新聞

 カナダ放送協会(CBC)は5日までに、クレティエン元首相が、同国北東部のニューファンドランド・ラブラドル州に核廃棄物を処分する施設を設立する構想に関与していたと報じた。カナダ国外の核廃棄物を保管し、日本なども協力することを想定している。ただし実現可能性の面で疑問符が付く構想といえ、日本政府は国内での処分場建設に向けた検討を着実に進める必要がありそうだ。

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 報道によると、クレティエン氏は2019年、日本のPR会社幹部に宛てたメールで、他国の核廃棄物をカナダに保管することを支持すると伝えた。カナダが核燃料であるウランの供給国であることから、「カナダは最終的には、使用済み核燃料の安全な保管に責任を持ち、保証する立場であるべきだ」と主張したという。

 報道は、このPR会社の幹部や日本の原子力産業界の有力者らは昨年4月、カナダで会議を開く予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止されたとしている。

 ただ、核廃棄物の国際共同処分場をめぐっては、これまでも、モンゴルやオーストラリアの一部などでの設立が議論された経緯がある。しかしいずれも実現には至っていない。

 東京電機大工学部(科学技術社会学)の寿楽浩太(じゅらく・こうた)教授は「廃棄物は自国内で処理するのが国際的な原則であり、法律も政府の方針もその前提だ。仮にカナダに頼むなら、国内の法制度から大きく見直した上で、正式な二国間の合意が必要で、足元での実現可能性は低い」との見方を示す。

 一方、日本国内では原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定をめぐり、北海道寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村が受け入れの検討を表明。この背景にも自国の廃棄物は自国で処分するという日本政府の方針がある。しかし今回の報道のように国外処分の可能性が指摘されると、「いま動いている関係者の信用を失いかねない」(寿楽氏)リスクもある。

 二酸化炭素(CO2)を排出しない原発は菅義偉政権が掲げる「2050年カーボンニュートラル」に向けた具体策「グリーン成長戦略」でも最大限活用するとされている。既存原発の再稼働にとどまらず、新設やリプレース(建て替え)の必要性まで政府が踏み込むべきとの声も多い。

 原発の活用に向けては、リサイクルを含めた核燃料サイクルの整備、さらに核のごみの国内での受け入れが重要だ。政府は、改めて原子力政策のスタンスを明確に示し、国内での最終処分を着実に進めることが求められる。(那須慎一)

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