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成長なくして「保守主義」なし! 日本政界での「保守」思想の欠如を痛感…

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産経新聞

日米の実質経済成長率 1/1枚  【お金は知っている】

 今月初め、東京で米保守系政治イベントCPAC(シーパック)の日本版「J-CPAC」が開かれ、筆者も昨年11月の会合に続いて財政問題についての討議を司会した。そこで痛感させられたのは、日本の政界での「保守」思想の欠如である。

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 米国の政治家の保守の考え方は極めて具体的で明確だ。昨年、参加して筆者と2度にわたって議論したトランプ米大統領の腹心、ミック・マルバニー大統領補佐官代行によれば、保守とは個人の自立精神を基盤とし、保守主義の政策は「税金を使わずに、経済を成長させ、人々の生活を楽にすること」である。

 増税を拒否し、減税を求める。経済を成長させることが政治家最大の責務との信念は揺るがない。経済のパイを大きくしないと個人が新事業などに挑戦するビジネス環境が損なわれ、独立自尊の意欲が削がれるのだ。

 会合に参加した米保守系議員などから盛んに聞かれたのは、「日本では保守を名乗る政治家がなぜ、経済成長を損なう増税を選挙公約にするのか」だった。筆者は、「日本でいう保守とは文学の世界にしかなく、政治家は経済成長には無関心だ。ゼロ成長のもとでは税収は増えないが、社会保障費が増えるので、それを補うために消費税増税やむなしとなる」と答えたが、米側参会者は「それはわれわれのいう保守主義とは、全く関係ないね」と驚いていた。

 グラフは第2次安倍晋三政権が発足した2012年12月以降の日米の実質国内総生産(GDP)の前年比伸び率と日本のGDPデフレーター(インフレ率)の推移である。

 安倍首相は06年9月発足の第1次内閣では「美しい国へ」「戦後レジームからの脱却」を掲げた。第2次内閣では「日本を取り戻す」と宣言し、デフレからの脱却をめざしてアベノミクスを打ち出した。

 異次元金融緩和、機動的財政出動と規制緩和などによる成長戦略の3本の矢だ。

 グラフが示す通り、実質成長率は13年7~9月期に3%台に乗り、米国と肩を並べたが、14年度には消費税率を一挙に3%の幅で引き上げた。成長率は一挙にマイナスに落ち込んだ。16年からは1%台成長を達成するのがやっと、というありさまである。デフレ圧力は再燃し、デフレーターは前年同期比0%のラインを徘徊(はいかい)している。「脱デフレ」は、はるか彼方に遠のいてしまった。

 対照的に、16年秋の大統領選で勝利したトランプ大統領は大型減税と大規模インフラ投資で株式市場を沸き立たせ、個人消費を活発化させた。最近でもトランプ氏は連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長には大幅利下げを求める一方、財政支出拡大にも前向きだ。マルバニー氏によれば、大統領は一貫して3%台成長の維持に躍起となっている。

 安倍首相は消費税増税による失敗を承知しながら、来月からは消費税率を10%に引き上げる。首相が保守を自任するなら、経済成長を壊す増税とは相いれない。成長なくして保守主義なし、と申し上げたい。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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