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いちばん買ってはいけないマンション「郊外に立地する駅から遠い新築の…」

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産経新聞

 【マンション業界の秘密】今年は昨年に引き続き、マンションが良く売れると思われている。まず3月までは好調だろう。しかし、消費税が上がる4月以降は分からない。

 普通の新築マンションなら、住宅ローン控除の拡大や「すまい給付金」によって5%時代と条件はほぼ変わらなくなるので「だったら今年買おうか」と考える人も多いと思う。しかし、マンションは長く住むのを前提として購入するもの。短期的な視点で購入すると、あとで後悔するケースが多い。

 今回は「いちばん買ってはいけない」マンションとは何かをお伝えしたい。

 ズバリ言ってしまうと、それは「郊外に立地する駅から遠い新築の大規模マンション」ということになる。理由は資産性が薄く、廃虚リスクが高いからだ。

 長く住むことを前提に購入したとしても、転勤や家族構成の変化で引っ越さなければならない場合もある。そういう時にはどうなるのか。

 まず売ることを考えてみる。新築で購入した額で売れることはほぼない。郊外の場合、「新築プレミアム」といって、周辺の築浅中古マンションよりも2割以上は新築の方が高い。場所によっては中古の倍近くになっているケースもある。

 だから、売却額は築5年くらいでも3割減。築10年だと5割減を覚悟すべきだ。さらに、大規模マンションの場合は、常にいくつかの住戸が売り出されている状態。急いで売ろうとすると価格競争を強いられる。

 そうなると、ほぼ確実にローン残高を下回る。売却すると、足りない額を現金で銀行に返済しなければならない。

 次に貸す場合。自分が借りる立場に立って考えるとよく分かる。借りる人にとっては「仮の住まい」だから、できるだけ便利なところに、なるべく安く借りようとする。駅まで15分以上歩いたり、バスに乗るような物件は、まず検討範囲外。よほど価格的魅力を付けないと、容易には借り手が見つからないだろう。

 つまり、売るにも貸すにも困難が伴う物件だから資産性は薄い。

 廃虚リスクもある。郊外の不便な大規模マンションは、世代交代が起こりにくい。築30年にもなると住人が高齢化する。

 また、大規模マンションの場合は管理組合の意思疎通も図りにくく、管理業務が停滞しがちになる。今の法制度のままだと、大切なことは何も決められなくなる可能性もある。

 同時に空き家が多くなる。管理費滞納住戸も自然に増えるだろう。管理がおざなりになり、修繕も満足に行えないマンションは、廃虚への道を歩む可能性が高い。

 都心の物件なら住みたい人が多いから、人口減少の時代でも自然と世代交代が起こる。管理費を滞納した住戸には競売をかければ回収も可能だ。

 以上のような理由から、いちばん買ってはいけないのは「郊外に立地する駅から遠い新築の…」ということになる。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。不動産会社の注意情報や物件の価格評価の分析に定評がある(www.sakakiatsushi.com)。著書に「年収200万円からのマイホーム戦略」(WAVE出版)など。

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