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【話の肖像画】歌舞伎俳優・中村獅童(48)伝統を守り革新を追求

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産経新聞

(酒巻俊介撮影) 1/1枚  《平成29年秋、写真・動画共有SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のインスタグラムを始めた》

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 今まで動画サイト「ユーチューブ」とかインスタとかネット系はまったくやってこなかったんですけれど、始めたのは歌舞伎を若い人にも見てもらいたいというのがあって、そうなるとこのコンテンツは無視できないんですよ。若い人ってSNSで共感したり、興味を持ったりしますからね。

 僕の場合、楽屋とか舞台の様子はアップしません。舞台や映画、テレビでは見られない獅童を見ていただきたいと思うので、僕はあえて出さないんです。インスタに登場するのは小川幹弘(みきひろ)(本名)なんです。家族のプライベートな部分を出すことに最初は少し迷いもありましたが、息子の陽喜(はるき)(3)や昨年生まれた夏幹(なつき)の成長ぶりを楽しみにしてくださる方も多いので、マイペースに続けていけたらと思っています。

 昔は、役者は私生活とかを見せるものじゃないというのがありました。でもそんな時代は終わったのかもしれませんね。僕の普段の様子とかプライベートな部分を見ることで、若者たちが「獅童って歌舞伎もやるんだ。一度、舞台も見てみよう」と思ってくれたらうれしい。

 数的にすべてのメッセージにお返事できませんが、僕と同じ病気とか末期がんの方からのメッセージにはなるべくお返事を書くようにしています。「舞台で活躍する姿を見て勇気をもらった」といったメッセージをもらうと、人々を笑顔にするのが役者の仕事なんだなあとつくづく思いました。

 若いころは自分一代で中村獅童という名前を大きくして、ずっと役者で飯が食っていけるような人物になりたいと突っ走ってきましたが、病気をしてから自分の中の価値観が大きく変化したように思います。人にどう喜んでいただけるかが何よりも大切に思えるようになりました。

 《バーチャル・シンガーの初音ミクと共演する「超歌舞伎」の舞台は年々進化している。今年9月には京都・南座で超歌舞伎公演が予定されている》

 勘三郎の兄さん(五代目中村勘九郎でのちの十八代目勘三郎、24年死去)から、「僕にはできないけれど、君にはできることがたった一つある。君はね、渋谷を歩いている若者を振り向かせることができるんだよ」と言われたことがあって、いまだに胸に響いています。歌舞伎を知らない若者を振り向かせるのが僕の使命だと思っています。伝統を守りつつ、革新を追求するスタイルが中村獅童の生き方なので、これからも貫いていきます。(聞き手 水沼啓子)

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