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【主張】東芝に買収提案 安保技術流出を懸念する

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産経新聞

 東芝が英国投資ファンドから買収提案を受けた。2兆円超でTOB(株式公開買い付け)を実施し、株主が持つ東芝株を買い取って株式を非公開化するという。

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 東芝をめぐっては、経営陣と、既存株主である投資ファンドとの対立が激化している。非上場化でこの対立を解消するのが狙いだ。東芝経営陣は提案の受け入れについて、慎重に検討することを決めた。

 この提案には懸念が多い。何よりも東芝は原発などで高度な技術を保有しており、外資の傘下に入ることは経済安全保障の観点から問題がある。買収に向けては、改正外為法に基づく政府の事前審査を受ける必要がある。厳重な審査が欠かせない。

 不正会計や米原発子会社の破綻で経営が揺らいだ東芝は、事業売却などにより再建を進めている最中だ。東芝が株主との対立解消に向けて非上場化した後、どのような将来像を描くのか。その青写真も同時に示してもらいたい。

 これまで東芝は、債務超過への転落を回避するため、「物言う株主」とされる多くの海外投資ファンドに出資を仰いできた。それらの株主は車谷暢昭社長の経営を批判している。この事態を打開するため英国のCVCキャピタル・パートナーズが買収を提案した。

 東芝は具体的な提案内容を聞いたうえで判断する。友好的な買収のため社内には歓迎する声もあるようだ。だが、これを再建へと確実につなげるにはどんな経営体制を敷くべきかなど、多くの課題を吟味しなければならない。

 とくに原発などの機微技術については、海外流出を防ぐための厳しい監視が不可欠である。買収には巨額の資金が必要なので、CVCは他の海外投資ファンドなどと共同買収する可能性がある。これらを踏まえて、政府は買収の可否を慎重に審査してもらいたい。

 銀行出身の車谷氏は、かつてCVCの日本法人会長を務めていた。利益相反を防ぎ、投資ファンドなど既存株主の賛同を得るためには、買収金額の決定などで透明性の確保が欠かせない。東芝側も独自の検証委員会を設けるなどで金額の妥当性を検討すべきだ。

 危惧されるのは東芝が「マネーゲーム」に翻弄される事態だ。それでは企業価値が損なわれ、経営再建も果たせない。東芝経営陣は肝に銘じてもらいたい。

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