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【主張】強権広がる中東 中露との共闘に注意せよ

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産経新聞

 中国がサウジアラビアやイランなど中東の強権国家に外交攻勢をかけ、共闘してバイデン米政権の「人権外交」に対抗する姿勢を鮮明にした。

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 王毅外相が先月末、中東6カ国を歴訪した。米国や欧州連合(EU)などがウイグル人への人権侵害をめぐり、対中制裁を発表した直後である。トルコを除く5カ国は昨年6月、国連人権理事会で発表された、中国の香港国家安全維持法を支持する声明に加わっている。

 強権統治が問題視される国々の賛同を得ても、中国による深刻な人権侵害問題はなくならない。互いに非はないとうなずき合う様子は異様ですらある。

 サウジでは、王外相に対し、国政を取り仕切るムハンマド皇太子が、ウイグルや香港の問題で中国の正当な立場を支持すると述べたと中国外務省が発表した。

 米国の「人権外交」を前に、両国政府の利害は一致する。記者ジャマル・カショギ氏殺害事件でトランプ前政権は皇太子の関与を不問に付したが、バイデン政権は「承認した」とみなし、元情報機関幹部らに制裁を発動した。

 トルコもエルドアン政権の強権統治が米欧諸国の強い批判にさらされている。ウイグル人とは民族的に近く、この問題では中国に厳しい態度を取ってきたが、今回、王外相とは両国の経済協力強化を確認し、批判を控えた。

 注意すべきは、中国が、米国と敵対するイランと、25年もの長期にわたる経済分野を中心とした包括的協力協定を結んだことだ。

 バイデン政権はイラン核合意に復帰する意向だが、イランは先に米国が制裁を解除するよう求め、先行きが見通せない。中国の肩入れはイランをより強硬にし、状況をさらに難しくする。

 王外相が中東歴訪に先立ち、ロシアのラブロフ外相と会談したことにも留意すべきだ。中露はともにイランの主張を支持している。強権国家の中でも、中露とイランという大国の「共闘」には一層の警戒が必要である。

 問題なのは、中国の外交攻勢は、強権支配の正当化や経済的浸透を進めることが目的であり、中東の平和と安定に向けた展望を欠くことである。

 バイデン政権は、トランプ前政権の中東政策を次々と転換しているが、そこに中国のつけ入る隙を作ってはなるまい。

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