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【主張】スエズ座礁 海上輸送路の多様化図れ

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産経新聞

 アジアと欧州をつなぐ海上交通の要衝、エジプトのスエズ運河の運航が再開した。日本の正栄汽船(愛媛県)が所有する大型コンテナ船「エバーギブン」が座礁し、運河の航行が6日間にわたって中断されていた。

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 座礁したのは、約2万個のコンテナを積載できる全長400メートルの大型船である。約17万トンの重さで離礁作業が難航した。渋滞解消までにはまだ時間がかかる見通しだ。

 世界貿易の伸びに伴い、輸送効率を高めるためにコンテナ船の大型化が進んでいる。今回と同じような座礁事故は今後も起きる可能性がある。中東情勢の緊迫度も高まっている。

 とくに日本は海外からの資源輸入に依存する貿易立国だ。特定の海上輸送路が利用できなくなるリスクを想定し、多様な調達ルートを確保しておくことが肝要だ。

 座礁したコンテナ船は、中国から欧州に向けた航行中、紅海と地中海を結ぶスエズ運河で座礁した。同運河は年間2万隻が航行し、世界の海上輸送の1割超を占める重要地点だ。座礁で運河の航行ができなくなり、一時は400隻以上の渋滞が起きた。

 操舵(そうだ)ミスの可能性も指摘されている。まずは座礁した原因の徹底究明が欠かせない。再発防止や損害賠償のためにも事故原因の特定が必要である。

 世界にはスエズ運河と同様の海上輸送の要衝がある。世界の原油の4割が経由するホルムズ海峡では2年前、日本企業が運航するタンカーが攻撃を受け、今年1月にはイラン革命防衛隊が韓国船籍のタンカーを拿捕(だほ)した。

 マラッカ海峡も航行ルートの幅が狭く、座礁や海賊の出没などの危険性を抱えている。航行距離が長い海上輸送は、リスクと隣り合わせであることを厳しく認識しておく必要がある。

 経済のグローバル化に伴い、海上輸送の需要は高まっている。輸送ルートを集中させれば、物流コストの引き下げにつながるが、それが途絶えると、原材料などの安定的な調達が損なわれかねない。これを避けるためにも、リスクの分散を徹底したい。

 コンテナ船だけでなく、LNG(液化天然ガス)輸送船なども大型化が進んでおり、事故が起きた場合の影響は大きい。そうした大型船の座礁防止に向けた国際的な協調も強化すべきである。

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