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【主張】蔓延防止措置 緊急事態とどう違うのか

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産経新聞

 これが新型コロナウイルス対策の決め手となるか。極めて疑問だ。

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 政府は緊急事態宣言に準じる「蔓延(まんえん)防止等重点措置」を、感染が急拡大する宮城、大阪、兵庫の1府2県に適用する。仙台市、大阪市と、神戸市など兵庫県の4市が対象で、5日から5月5日までの1カ月間とする。

 飲食店の営業時間を午後8時までに短縮するよう要請することが柱だ。飲食店でのマスク着用や換気対策の見回り強化、カラオケ設備の利用自粛も要請する。

 細かな違いはあるものの、大筋は地域を絞って緊急事態宣言下に戻すということだ。だが、宣言の解除時を思いだしてほしい。

 決して感染拡大を押さえ込んだ前向きな解除とはいえず、繁華街の人出は増し、新規感染者も下げ止まりから微増に転じていた。これ以上宣言を延長しても効力が望めない中での解除だった。

 その状態に戻すだけなら、感染抑止の期待はさほど持てない。新たに効果的な対策を講じなければ、新型コロナとの戦いに勝てない。重点措置の対象市との間の移動制限や、対象市でのワクチンの重点接種も検討すべきだ。

 政府は、宣言解除後の対応として(1)飲食での感染防止(2)変異株の監視強化(3)戦略的検査の実施(4)安全迅速なワクチン接種(5)医療提供体制の充実-を5つの柱として挙げていた。

 これらは実現できているのか。例えば変異株把握の検査について、田村憲久厚生労働相は実施の目安を陽性となった検体の5~10%から40%程度に引き上げると表明した。だが神戸市が約60%の検査で変異株による陽性例を多く確認した一方で、東京都では依然、1割未満にとどまっている。

 「なぜできないのか」の言い訳ばかりが聞こえるが、目標達成への見込みは語られない。国の指導力欠如か、自治体の努力不足か。そのいずれもか。結果が伴わない以上、国民の目にそう映っていても仕方がない。

 変異株の感染実態も把握しきれない現状では、東京を含む重点措置対象以外での感染再拡大は避けられまい。もぐらたたき、いたちごっこと揶揄(やゆ)されようが、その都度新たな措置を講じることは避けられない。その際は、「迅速な着手、慎重な撤退」の原則を徹底してほしい。コロナとの戦いは、まだ道半ばである。

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