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【主張】河井被告辞職へ これが「他山の石」なのか

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産経新聞

 参院選広島選挙区をめぐる公選法違反罪で公判中の、衆院議員で元法相の河井克行被告が議員辞職願を提出した。無罪主張を一転させ、地元議員らへの現金供与を買収と認めたものだ。

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 すでに議員としての活動実態はなく、辞職は当然であり、むしろ遅すぎた判断といえる。

 耳を疑ったのは、自民党の二階俊博幹事長が一連の経緯に「党もこうしたことを他山の石として、しっかり対応していかなくてはならない」と述べたことだ。

 「他山の石」どころか、これは自民党議員の公選法違反事件であり、同党が河井被告夫妻に提供した破格の1億5千万円が原資として疑われる不祥事である。

 どこからどうみても、人ごとではありえない。二階氏の発言は、よほど語彙力に欠けるか、さもなくば、党の反省のなさを象徴するものだ。河井被告がすでに離党していることが発言の理由なら、あまりに無責任である。

 二階氏は特に発言を撤回することもなく、党内からも発言を諫(いさ)める声が聞こえてこない。

 幹事長は党務の責任者だが、その上に総裁がいるはずだ。菅義偉首相が二階氏に発言の真意を質(ただ)してはどうか。誤用の放置は子供の教育上もよくない。

 「他山の石」は中国の「詩経」にある「他山の石、以(もっ)て玉を攻(おさ)むべし」に由来する。

 意味は「よその山から出た粗悪な石でも、自分の宝石を磨く役には立つ」といったもので、転じて「自分の人格を磨くのに役立つ他人のよくない言行や出来事」(広辞苑)を指す。

 事件はまぎれもなく自民党の山から出たものである。だが河井被告も自民党も、事件についての詳細な説明を避け続けている。

 河井被告が公判の被告人質問に答えた「民主主義の根幹である選挙の信頼を損なった」の反省が真実のものであるなら、買収資金の原資を含む事件の全容について、政治家としての説明責任を果たすべきである。

 10月21日に任期満了となる衆院は、公選法の規定により今月16日以降に生じた欠員のための補選は行われない。遅すぎる辞職判断で党が望まない補選を避け、何らかの見返りが望めるのだとすれば本末転倒も甚だしい。こうした臆測を封じるには、自ら事件の背景について口を開くことだ。

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