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【主張】全柔連の山下氏 会長として本当に適任か

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産経新聞

 全日本柔道連盟と日本オリンピック委員会(JOC)の会長を兼ねる山下泰裕氏に、その資格があるのか。

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 改めて厳しく問わなければならない。

 全柔連コンプライアンス委員会が愛知県連盟の執行部刷新などを求めた勧告書案を昨年11月に作成しながら、山下氏は約4カ月も放置していた。

 愛知県連は、元五輪代表でもある河原月夫会長の就任後に不明朗な支出が急増したほか、執行部に批判的な役員を排除するなど組織運営に問題を抱えている。

 今年1月に河原氏と面談した山下氏は、勧告書案の内容を伝えずに、口頭での注意だけで済ませていた。理事会に諮らず内々に処理しようとした構図は、2月に発覚した前事務局長のパワーハラスメント疑惑と変わらない。

 公益法人の全柔連は、柔道の教育的な効果をうたって競技の普及に努め、国の助成金でトップ選手の強化を行ってもいる。ガバナンス(組織統治)の透明性確保や規範意識の徹底は生命線だ。

 一連の問題を柔道界の死活に関わることとして認識していなかったとすれば、山下氏は会長として不適格と言わざるを得ない。問題ありと認識していたのなら、それは隠蔽(いんぺい)である。

 全柔連とJOCで、山下氏が会長就任を契機に導入した理事会の非公開について、スポーツ界には「隠蔽体質そのもの」という厳しい声もある。

 東京五輪を4カ月後に控え、世界からは厳しい視線が日本に注がれている。両組織の会長の任にふさわしいかどうか、山下氏自身によく考えてもらいたい。

 もう一つ看過できないのは、コンプライアンス委が弁護士ら有識者で構成されながら、組織の監視機能を果たせていないことだ。全柔連では、同委員会が愛知県連への勧告書案やパワハラ疑惑の調査報告書を提出した際、山下氏に対応を一任していた。

 内部組織にすぎない同委員会には、対象が深刻な不祥事であっても調査結果を公表する権限がなく、「会長一任」が隠蔽につながりかねない。

 他の競技団体も同じリスクをはらんでいる。このような不適切な状態を、内閣府やスポーツ庁は放置すべきではない。山下氏の資質とは別に、早急な改善を要する日本スポーツ界全体の課題だ。

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