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【主張】緊急事態の解除 変異株把握に全力挙げよ

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産経新聞

 一つの戦いの終わりではなく、戦術変更を余儀なくされたと認識すべきである。大事なのはこれから何をすべきかだ。

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 政府は、首都圏1都3県に発令している新型コロナウイルス緊急事態宣言を21日までで解除することを決めた。1月に再発令した宣言はこれで全面解除となるが、感染拡大を押さえ込んだことによる前向きな解除とはいえない。

 菅義偉首相は「1都3県の新規感染者数は大きく減少し、医療提供体制の負担も軽減させることができた」と述べた。

 だが、首都圏の新規感染者数は下げ止まりから微増に転じ、感染力が強いとされる変異株の脅威も増している。

 感染再拡大への懸念を払拭できない中での解除である。最近は繁華街の人出も増しており、宣言の効果は極めて限定的だった。確かに、このままずるずると宣言期間を延ばしても、感染抑止への期待はかけられなかった。

 政府は解除後の対応として(1)飲食での感染防止(2)変異株の監視強化(3)戦略的検査の実施(4)安全迅速なワクチン接種(5)医療提供体制の充実-を5つの柱として挙げた。いずれも当然の対策で、多くはとっくに整備されていなくてはならなかったものだ。この機に履行を徹底してほしい。

 変異株把握のためのスクリーニング検査について田村憲久厚生労働相は目安を陽性となった検体の5~10%から40%程度に引き上げる方針を明らかにした。すでに積極的な把握検査を実施している神戸市では、多くの変異株による陽性例が発見されている。首都圏では、そうした実態把握がないまま宣言を解除したことになる。

 変異株による感染には症状の重症化、長期化の指摘があり、蔓延(まんえん)すれば一気に病床の逼迫(ひっぱく)が進む可能性が高い。変異株対策こそ最優先課題であり、自治体に任せず、国が全力で主導すべきである。

 首都圏だけではなく関西や宮城県などでも再拡大の兆しがある。各自治体は蔓延防止等重点措置を適宜適用し、新たな事態に備えなくてはならない。

 ワクチンの接種が少なくとも高齢者に行き渡るまで次の感染の山を作らない。そのために各自は何をすべきか。政府は、メリハリをつけた明確な指針を提示してほしい。「お花見自粛のお願い」だけでは、危機は去ってくれない。

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