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【主張】変異株拡大 蔓延前提に態勢を整えよ

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産経新聞

 新型コロナウイルスの変異株の発生が相次いでいる。感染力が強く、ワクチンの効果を下げるリスクもある。

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 変異株が水面下で広がっているとみた方がよい。全国で集計された調査では変異株の確認が散発的だった。一方、集中解析を行った神戸市では変異株が新規陽性の39%を占めた。神戸市でだけ高いとは考えにくい。この数字が実勢を反映している可能性がある。

 田村憲久厚生労働相は16日の会見で、「非常に危機感を持っている」とし、検査と水際対策を徹底する方針を示した。当然である。監視強化のため、保健所の一部業務を地域の訪問看護師らに任せるなどして、保健師を変異株追跡に専念させてほしい。

 遅れているワクチン接種を急ぐべきなのは言うまでもない。海外では改良型ワクチンの開発も始まっている。速やかに対応できるように準備しておく必要がある。

 変異株の判明は、厚労省の9日までの調査では空港検疫を除き、21都府県で271人に上った。渡航歴がない人がほとんどだ。

 政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は、「ほぼ間違いなく、変異株が既存の株に置き換わり増えていく」と指摘した。第4波を警戒すべきである。

 変異株の9割超を占める英国型は、二次感染の確率が従来型の1・4倍ともいわれる。死亡リスクが高いことも分かってきた。

 南アフリカ型、ブラジル型はワクチンの効果を下げるリスクが指摘されている。ただ、専門家らは今の変異であればワクチンの有効性を期待できるとみている。迅速で着実な接種が欠かせない。

 一方で製薬各社は、さまざまな変異や追加接種を視野に、改良型ワクチンの開発に着手した。米食品医薬品局(FDA)は先月末、改良型に必要な臨床試験の指針を示した。試験を絞り、早期の開発と実用化を図る狙いがある。

 日本でも、毎年流行するインフルエンザのワクチンは株が変わるたびに臨床試験や申請、承認を一からやり直すわけではない。新型コロナでも臨機応変な対応の検討を急ぐべきだ。国産品を開発中のメーカーにとっても関心事だ。

 新型コロナウイルスとの闘いには中長期の視点も欠かせない。何度かのワクチン接種で流行は鎮まっていく。そのための態勢を整えておくことが重要である。

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