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【主張】京都保護司宣言 世界に誇る制度充実図れ

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産経新聞

 「民間の善意」が罪を犯した人の立ち直りを支援する「保護司」制度は日本独自のものだ。

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 再犯防止は刑事司法の重要な使命であり、保護観察官ら国の職員だけではなく、民間のボランティアがこれを支えるもので、日本が世界に誇れる制度といえる。

 先週、京都で開催された「国連犯罪防止刑事司法会議」(京都コングレス)の関連イベントとして法務省と国連が合同で「世界保護司会議」を開き「世界保護司デー」の制定を目指す「京都保護司宣言」を採択した。

 政府は、保護司制度の「輸出」を通して刑事司法分野での存在感や影響力の向上につなげたい考えだ。法務省によると、フィリピンやケニアなど少なくとも6カ国で日本をモデルにした制度が導入されている。「京都宣言」を機に、さらなる普及を期待したい。

 保護司は、刑を終えた人や仮出所者ら保護観察の対象者が社会で更生できるよう、定期的に対象者と面接し、生活の相談に乗り、就職の手助けなどを行う。

 明治時代に静岡県の篤志家が出所者の相談に乗り、仕事の世話をしたのが始まりとされる。法相の委嘱を受けた非常勤の国家公務員であるものの、実質的には無報酬の地域ボランティアである。

 ただし国内ではこの十数年、保護司のなり手不足が問題となっている。5万2500人の定員に対し、今年1月の時点で委嘱されているのは約4万6千人。高齢化も進み、平均年齢は65・1歳だ。

 保護司は、観察対象者と同じ地域に住む民間人から、社会的信望や熱意を持つ人が一定の手続きを経て選ばれる。前任者が適任者を指名することも多いが、地域社会の人間関係の希薄化で、人材の確保が難しくなっている。

 対象者が突然連絡を絶つなど、保護司の活動には苦労も多い。

 それでも、関東地方で保護司を20年以上務めた男性は「『起業して社長になった』『結婚式に来てほしい』という連絡をもらったときは本当にうれしく、やりがいを感じた。無報酬だからこそ損得を考えずに奉仕の精神で続けられた」と話した。保護司の仕事には意義も満足感も大きい。

 法務省は保護司活動のインターンシップ制度などを5年前から始めたが、結果は十分に出ていない。国際社会だけでなく国内での発信強化にも努めてほしい。

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