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【主張】中国外相の強弁 非を改めるのは習政権だ

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産経新聞

 中国の王毅国務委員兼外相が全国人民代表大会(全人代)の開催に合わせ北京で行った記者会見で、習近平政権の強権的な外交を正当化した。

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 王氏は、新疆ウイグル自治区でのウイグル人弾圧に対し米国などが「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と批判していることを「徹底したでたらめで完全に下心があるデマだ」と断じた。台湾、香港、南シナ海問題などを含め中国の「核心的利益」を断固擁護する姿勢を示した。

 国際社会の理解を得られぬ強弁である。強気をみせようとすればするほど、習政権が国際社会との間にどれだけ多くの対立の火種を抱えているかが浮き彫りになる。これらの地域・海域で起きていることは、人権弾圧を進め、領土拡張を図る中国の強権ぶりを露骨に示すものばかりだ。

 中国海警局に武器使用を認めた海警法についても、王氏は「特定の国に対するものではない」「武力の使用や武力による威嚇を行わないことが中国政府の一貫した立場だ」と言いつくろった。

 だが、中国共産党におけるランクが王氏よりもはるかに高い序列3位の栗戦書・全人代常務委員長は王氏の会見後、海警法の制定は習国家主席(総書記)の「強軍思想」を貫徹するためだと説明し、軍事目的を認めている。

 これでは日本などの懸念が収まるはずがない。王氏は東京五輪と来年の北京冬季五輪を挙げ「中日両国民の友好感情を深め、中日関係の発展を促す機会にできる」としたが、日本国民の対中感情の改善を期待する方が無理である。

 王氏は米国に対しても、「民主や人権を旗印に他国の内政に干渉し、世界に多くの面倒を引き起こした」と激しく非難した。同時に新型コロナウイルスや気候変動問題で、「米国と協力する用意がある」とも述べ、対立激化を望まない本音をのぞかせる。

 3期目を狙う習氏の正念場となる党大会の開催は来秋だ。安定が最も求められるこれからの時期、党内向けに強気をアピールする必要はあっても海外勢力との決定的対立は避けなければならない。王氏会見から垣間見えるのはこうした習政権の苦しい事情である。

 日本は、民主主義などの価値を共有する米国、オーストラリア、インド、欧州などと連携を強め、対中圧力をかけ続けるべきだ。非を改めるのは中国の方である。

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