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【主張】デジタル教科書 検証しないで飛びつくな

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産経新聞

 小中学校にデジタル教科書を導入する動きが加速化している。文部科学省の有識者会議は、全ての教科書をデジタルに変更することも視野に、本格導入を目指す中間まとめ案を概(おおむ)ね了承した。

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 だがデジタル教科書は読解力が身につきにくいとする指摘がある。目に負担がかかるなど健康面の不安も拭えない。教科書の役割である基礎学力の定着、向上に資するか。十分な検証なしに導入ありきで議論をするのは反対だ。

 デジタル教科書は、紙の教科書と同じ内容を電子化し、タブレットなどの端末で見られるようにしたものだ。紙の教科書の使用を義務付けていた学校教育法が平成30年に改正され、昨年度から使用できるようになった。

 文科省は、当初から導入を急いだわけではない。使用する場合でも授業時数の2分の1未満とする規制を設けていた。

 しかし、小中学生に1人1台の端末を配備する目標の実現時期が新型コロナウイルス感染拡大の影響で早まったことを受け、本格導入へかじを切った。使用の規制も来年度から撤廃する方針だ。

 急ぎ過ぎていないか。

 中間まとめ案ではデジタル教科書の利点として、画面に書き込める機能を使い、消去や書き直しが簡単にできることなどを挙げる。だが、教科書の文言をノートに書き写したり、消しゴムで消して書き直したりすることで、確実な知識が身につくものだ。

 デジタル画面より、紙の活字の方が文章を熟読し、理解を深めるのに適していると指摘する識者も多い。経済協力開発機構(OECD)の国際学習到達度調査では、本を「紙で読む方が多い」と答えた日本の生徒の読解力の平均点が、「デジタルで読む方が多い」生徒より大幅に高かった。

 文科省は、デジタル教科書の本格導入の目標を令和6年度とし、全面移行や併用など複数案を示した。来年度から実証研究を行うというが順序が逆だろう。導入後に学力低下が明らかになれば取り返しがつかない。副教材として、教育効果を見極めるべきだ。

 教科書まで全て「デジタル」にせずとも、子供たちは放っておいてもスマートフォンなど情報端末に囲まれ、頼り過ぎの感がある。教員がデジタル教科書を使いこなせるのか、指導上、多くの課題があることを忘れてはなるまい。

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