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【主張】全柔連のパワハラ 山下会長の責任免れない

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産経新聞

 日本スポーツ界のトップとして適任なのかどうか、自身で考えてもらいたい。

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 全日本柔道連盟の事務局内で指摘されたパワーハラスメント行為を、山下泰裕会長は「公表の必要なし」と判断し、2月下旬に報道されるまで内外に伏せていた。

 山下氏は、国内競技団体を束ねる日本オリンピック委員会(JOC)の会長でもあるが、今回の対応には大きな疑問符をつけざるを得ない。

 全柔連のコンプライアンス委員会は、昨年11月にまとめた報告書で、前事務局長が複数の職員を大声で叱責するなど、パワハラが疑われる行為があったとした。対応を一任された山下会長は処分に踏み切らず、自己都合による退職を許していた。

 問題なのは、調査結果と処分なしで退職させた山下氏の不始末を、職員にさえ開示していないことだ。会見で山下氏は、4人の副会長と協議の上で非公表を決めたという。これが事実ならば、「隠蔽(いんぺい)」の批判は免れない。

 全柔連では8年前、女子指導陣によるパワハラなどの不祥事が相次ぎ、執行部の隠蔽体質や、監視を怠った理事会の機能不全も指弾された。その後は外部の人材を招き、組織運営の透明化や規範意識の浸透を図ってきた。山下氏は、その流れを受けて会長に就いたのではなかったか。

 現役時代の華々しい実績を持つ山下氏に、意見できる人は柔道界にいないとされる。だが、副会長のうち2人は、外部から招いた元官僚と大企業の副社長、コンプライアンス委員長も検察庁出身の法律家だ。方針を誤ったトップを、いさめるべき立場だろう。

 JOC会長などの要職も兼務する山下氏は、今回の問題に「気づかなかった」という。そもそもJOC会長の就任時に「多忙」を懸念する声があり、全柔連との「利益相反」も指摘されていた。それを承知で兼務を続け、この事態を招いた責任は重い。

 山下氏はJOCでも、理事会を非公開とするなど閉じた組織運営に固執している。東京五輪・パラリンピック組織委員会の新会長の選出過程でも、協議の非公開を主張した一人が山下氏だった。

 時代錯誤のトップに世間が向ける不信の目は、世界が日本スポーツ界を見る目でもある。山下氏にその自覚があるだろうか。

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