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【主張】香港の制度見直し 立法会を全人代化するな

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産経新聞

 中国の習近平政権が、「愛国者治港」(愛国者による香港統治)を掲げて香港の選挙制度の見直しを強行する構えだ。

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 3月5日開幕の全国人民代表大会(全人代)で審議され、可決の可能性が高まっている。

 香港では9月に立法会(議会)選が行われる予定だ。香港政府トップの林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官の任期は来年6月末までで、行政長官選もそれまでに実施される。

 立法会(定数70)の半数は職能代表枠で、主に間接選挙によって選ばれる。行政長官選も、各界代表で構成される選挙委員1200人の間接選挙である。

 すでに立法会選、行政長官選とも親中派に有利な制度になっているとはいえ、2019年の大規模な反政府・反中デモに苦しんだ習政権は、香港民主派勢力の徹底排除を狙っている。全人代は議案を承認するだけの「ゴム印」と揶揄(やゆ)されているが、習政権が目指すのは立法会の全人代化である。

 注意すべきは、習政権が選挙制度見直しに加えて、立法、行政、司法機関を「愛国者」によって構成されるものにしなければならないと強調している点だ。愛国者統治の実現である。

 非愛国者については、(1)「香港独立」の主張を宣伝、支持する者(2)中国による香港への主権行使を認めない者(3)海外勢力に中国や香港の制裁を求める者(4)香港国家安全維持法(国安法)に違反し国家の安全を損なう行為をする者-などと断じている。

 こうした「反中勢力や香港を混乱させる勢力」が誰かは中国共産党政権が恣意(しい)的に決める。非愛国者を国家機関から追放すると称して、香港の各方面で制度の見直しが進むのは確実である。

 中国共産党政権が言う愛国者とは、愛党者のことだ。愛国者統治とは、中国共産党を支持し、同党の命令に従う者だけで香港を統治することを意味する。

 資本主義と社会主義の共存を認めた「一国二制度」を否定し、香港を共産党独裁の「一国一制度」へ移行させてしまう。「一国二制度」を保障した「中英共同宣言」(1984年調印)を真っ向から踏みにじるものだ。

 中英両国の条約である同宣言は国際公約であり、日本政府は英国や米国などとともに、香港の選挙制度改悪に断固反対の声を上げるべきだ。

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