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【主張】孤独担当相 国民へ強いメッセージを

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産経新聞

 自殺の動機には健康、経済・生活、家庭、勤務、男女、学校などの諸問題が挙げられる。

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 「理由はさまざまでも最後に背中を押す悪魔の手は、多くの場合、孤独なんです」と専門家会合で聞いたことがある。

 新型コロナウイルス禍で、孤独や孤立の問題が深刻化していることを受け、菅義偉首相は坂本哲志地方創生担当相に孤独問題の担当を兼務するよう指示した。

 これを受けて坂本氏は内閣官房に孤独や孤立問題の対策室を新設し、厚生労働省や文部科学省などから職員を集め、自殺や子供の貧困といった各省庁をまたぐ問題に取り組む。まずは実態把握に努め、孤独や孤立解消への具体的な施策を打ち出してほしい。

 背景には、自殺の増加がある。警察庁によると、昨年の自殺者数は2万919人(速報値)で11年ぶりに前年より増加した。

 前年比1%減の男性に対し、女性は14・5%増で、新型コロナ禍の生活環境の変化や経済難が多くの女性を心理的に追い詰めた実態が浮かぶ。

 子供の自殺も増えている。文科省によると昨年に自殺した小中高生は、統計のある昭和55年以降最多の479人で、前年比140人増だった。特に8月は前年同月比で2倍を超える64人を数えた。女子高校生の自殺者は138人で、前年より71人も増えている。

 多くの女性や少年少女が孤独や孤立感にさいなまれているとすれば、政府が対応に乗り出すのは当然である。

 孤独担当相の新設は、国民民主党の玉木雄一郎代表が提言し、政府がこれを採用した。こうした与野党の協力は歓迎したい。

 孤独担当相は、英国が2018年に設置したことで知られる。

 当時のメイ首相は、新設にあたって声明で、「孤独は現代生活の悲しい現実。高齢者や介護者、愛する人を失った人々などが直面する孤独に対し、行動を起こす」と述べた。

 加藤勝信官房長官は会見で、孤独担当相の新設について「コロナの流行長期化で、孤独、孤立の問題は一層深刻さが増している。総合的な対策を政府一体で早急に推進する必要がある」と述べた。

 メッセージとしては弱い。英国の先例にならい、菅首相が国民に向けて、明確で力強い声明を出して協力を求めてはどうか。

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