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【話の肖像画】歌舞伎俳優・中村鴈治郎(61)(3) ゆかりの松竹、社長役を満喫

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産経新聞

NHK連続テレビ小説「おちょやん」で大山鶴蔵にふんする中村鴈治郎さん(c)NHK 1/1枚  ■ゆかりの松竹、社長役を満喫

 《現在NHKで放送中の連続テレビ小説「おちょやん」に、関西演劇界のドン、「鶴亀」株式会社の社長、大山鶴蔵役で出演している。鶴亀は、歌舞伎や映画などの興行を行っている松竹を思わせる設定。鶴蔵は、その創業者である白井松次郎と大谷竹次郎がモデルのようだ》

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 はじめにこのお話をいただいたとき、「何、するんですか」って聞いたら、NHKの方が「浪花千栄子さんのお話です」。浪花さんをやるということは彼女が在籍した松竹新喜劇が描かれるわけで、そうすると松竹は切っても切れない関係です。「僕の役は」とうかがうと、「松竹の社長さんの役をやっていただきたい」と。創業者の白井松次郎さんと大谷竹次郎さんは双子の兄弟なんです。それで、「もうおひとりはどなたがなさるんですか」と聞いたら、「ひとりでやっていただきたいんです」。はあ、そうなんだ、と思ってね。でも、実際の人物とは違いますしね。喜んで出ています。

 《鴈治郎さんが演じる大山鶴蔵はどんな人物なのだろう》

 いってみたら、道頓堀を仕切っている演劇界のドンみたいな感じですね。着物を着て袴(はかま)姿で山高帽。むちゃくちゃワンマンで、みんなに怖がられているんですけど情もある。自分としては貫禄が出るよう、「どやねん」「なんでこないなってるねん」って、声を太く、低音にして演じています。

 最初の方で、私が演じている大山社長が、歌舞伎俳優の早川延四郎(えんしろう)をねぎらう場面がありました。この延四郎を演じたのは、本当の上方の歌舞伎俳優、片岡松十郎(まつじゅうろう)くん。劇中劇で「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」の主人公、団七九郎兵衛(だんしちくろべえ)も演じていて、松十郎くんの師匠の(片岡)仁左衛門(にざえもん)のおにいさんが監修されていました。このドラマには、そういう劇中劇がいろいろあって、それも魅力のひとつになっていますね。

 私自身も、戦前の関西の演劇界の話で、松竹という会社自体、当時、うちの曽祖父の初代鴈治郎とともに発展したようなところもあるので、出演できるというのはすごくうれしい。初代鴈治郎はドラマには出てきませんが、自分の先祖と松竹という会社の歴史が重なりますからね。日本の芸能史をたどるような側面もありますし。

 《NHK連続テレビ小説への出演は昭和53年の「おていちゃん」以来。女優、沢村貞子さんのエッセーをもとにしたドラマで、鴈治郎さんはヒロイン、てい子の弟、大沢直次(モデルは俳優、加東大介さん)を演じた》

 あれは18歳のときでしたから、もう40年以上前になります。懐かしいですね。思い出深いのは、撮影していたのが大学に入った年で、これからどんなヘアスタイルでもできる、と喜んでいたら、役作りでいきなり丸坊主。それで大学に通わないといけないし、テレビにもその姿で映るし、恥ずかしかったですねえ。ドラマに歌舞伎の先輩の坂東三津五郎さん(当時、八十助)も出演されていて、いろいろよくしてくださいました。(聞き手 亀岡典子)

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